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前回は、東邦レオの会社について、そして、ティール組織を導入するに至った転換期というところのお話しをしました。最後に吉川が社長として来てくれたことにも触れましたが、実は吉川は、東邦レオにもともとあった、ある一つの要素を見てティールに向いていると感じたのだと言います。

それというのが、社内行事です。うちの会社は昭和の会社なので、毎年2泊3日で長野県に研修に行くというものがあります。昼は運動会をして、夜は演芸大会をするという内容なのですが、ここになると部門関係なしに皆がものすごく力を合わせて頑張ります。そこが、吉川にとって「東邦レオでティール、いけるよ」と思った点だったそうです。

それでは今回は、東邦レオがティール組織を導入することで取り入れた施策や、それに伴うプラス面であったりマイナス面であったり、具体的な中身等について紹介していきます。

2018年にティール組織を導入

簡単に言いますと、プロジェクト型の組織のように、プロジェクトが立ち上がったら、いろいろな場所から皆が集合をするというものです。ただ、当時は今よりも緩くカテゴリーを敷いており、例えばテクノロジーというところのメインミッションは50%だけれども、残りの25%と25%は別なプロジェクトにというような、一人何役も持つというような体制を敷きました。

3つの施策

また、施策というのは大きく分けると3つになると思います。

まず1つはミッション据えの一新です。

もともとは、仕事を完了したとき、私たちの完成したものの写真を撮るといったときには、人が一切映らないような時間帯をねらって撮りに行っていました。でも、私たちが出している本当の価値というのは、それじゃないことに気づきました。「より、利用者がその空間を使ってどう豊かになるか」ということが大事だということで、そこに軸を置き「グリーンのライフスタイルのまちづくり」というのをミッションに据えました。

2つ目は隊の統合。

1番隊から4番隊まであったものを2番隊だけに統合をしました。もともと、隣同士で成果を競い合っていたようなところでしたので、これは、大分けんかというのがありました。

3つ目は新規事業をフェス形式で決める。

これは、翌期以降にティール組織を入れるということを決めていたときに、新たに展開できる新規事業を皆から公募して、その中から25事業をフェス形式で重点施策のしぼり込みをするというのを全社員でやりました。

25あるお題の中では、皆が自由に自分の好きなところにいけますので、一般消費者として見たときに人気があるもの、興味があるものというのも非常に分かりやすくて。フェス形式にして、皆の反応を見ることができました。
また、これらには外注のコンサルというのは入れずに、企画であったり、こういう会が必要といったものは全てメンバーから出るようにしています。

ティール組織の導入と同時に行った2つのこと

そして、ティール組織の導入と同時に行ったことが2つあります。1つが「もう一回、改めて社是を捉えなおす」ということです。よく、CSV経営というのを聞かれることがあると思いますが、それに紐づけをして捉えなおしました。東邦レオ創業者の直筆として「我々は、社業を通じて社会に貢献することを、第一の生きがいにする」というものがあるのですが、今の時代で言うとCSVだよねということで、現代に置き換えをして、捉えなおして理念を共有するということも皆でやりました。
もう1つは、ドメイン(領域)の転換です。今まで建設業だったところを「私たちは建設業ではなくて『サービス業』です」と、ここで完全に転換をしました。今までのメインだった建設業の技術というのを、完全に一つの手段にしたということです。

組織変化に伴う社員のモチベーション

ティール組織の導入ということで、今まで完全なピラミッド組織として役職があったりした人が、完全にドフリーというか、一社員になったわけです。その点では、私たちのような若手や30代辺りはモチベーションが高かったです。いろいろな役割を体験できる、いろいろな人の協力を得てお客さんに対して価値あるものを提供できるというのが、とても面白いと感じていました。
ですが、やはりベテランの方々はモチベーションを下にしてしまうところが多かったです。どう動いたらいいのかが分からない、もともと自分たちがずっとやっていたことが全部否定されてしまった、そういった捉え方をされる方もいましたので、当然不満や愚痴などにつながります。口癖が「これって、どうなんですかねえ?」になっている、そんな時期がありました。

マイナス面を解消する施策

ただ、そのようなティール組織のマイナス面に対しては、きちんと施策も行いました。その中の一部ですが、「匿名でもいいから不満や、今もやもやしていることを全部吐き出そう」という目安箱みたいなものを置く。それに対して、一つも省くことなく全問に対して、リーダー、今からそれ推進しようとしている若手たち皆で、リモートでつないで「トークセッション」をします。中にはリアルで参加をする人もいますが、その場で質疑応答をするというのを、1か月半ぐらいでしょうか、2日に1回ぐらいのペースでやりました。

さらに、情報のオープン化ということで、経営陣や経営候補のリーダーたちが参加をする戦略会議で戦略がどんなふうに決められているのかということを、YouTube配信だけではなくて、会社にいたら参加できるというような開けた形にしました。今は役員会なども共有をしています。
ほかにも、仲間同士のコミュニケーションをもっと増やすという部分で、社内のSNSを活用したり、全員にスポットが当たるようにするという評価制度なども取り入れました。

自分を「Blue・Green・Red」でカラー分けする評価制度

この評価制度というのは、月に1回、Blue・Green・Redの3色で自己評価をするものです。今月は「あー、Blueだったな」とか「めちゃくちゃ燃えてRedだった」とか「成果出したからGreenだったな」というのを、自分で評価してもらいます。自分のつけた評価というのは他者には見られません。

この評価制度と一緒に、これも月1回やっていますが、成果を出していたメンバーと、成果は出していなかったけれども「こいつ、めちゃくちゃ燃えていたな」というようなメンバーを皆から推選するといったものもあります。毎月1日にある全社員参加のテレビ会議の中で「誰がどういうことをして、周りからこういった評価を得ていますよ」といったものを発信することで、全員にスポットが当たるようにするという意味で始めました。
自己評価と周りからの評価の2つがあると言えますが、根本的には自己評価制度なので、自分が今月は100%やり切ったと思えば「Red」で、例えば、ほかの人が「Blue」と思っていても「Red」になります。

また、自分と他者の評価の差で上から評価をされるものでもなく、むしろ、全然周りに対しての投票をしないですとか、そういった方にはこちらからアプローチをして、どうして評価をしないのかを聞いた上で、それでもやらなければ「実際の評価につなげますよ?」と話します。脅しではないのですが、コミュニケーションの一つとして「一緒にやりましょうよ」という意味合いです。

毎月1回やるというのは結構大変でもあるのですが、日ごろ陰で頑張ってくださっている方にもスポットが当たるのが良い点です。うちには、以前からグリーンクリエイターさんという、女性の転勤とかをしない限定社員といった方も結構おられるので、そういう現地で住民さんのために頑張ってくれている方のことを仲間が評価をしてくれることで、それが全社に広まっています。

ティール組織を取り入れたことによる社内変化

完全にピラミッドだった組織がプロジェクト型になり、ツールというのもMessengerやLINE、社内SNSでいうとTUNAGを使ってのやり取りに変わり、場所や時間も、9時から18時というよりも、フレックスを敷いているわけではないですが、その人が判断をして仲間と一緒にやり取りをできればどこでもいいという具合に変わりました。

女性が生き生きと活躍をしだす

うちで言えば、女性の方のほうがこの辺りから結構活躍をし始めたのを感じています。家にいながら在宅でという形でやる方が増えてきていました。

アイディアが生まれやすくなる

また、ティール組織に対するマイナス面に対して取った施策というのが、企画やアイディアを生み出すことにもつながっています。「こういう人には、この人からアプローチをしないといけないんじゃない?」といった、問題や不安を個人ベースで徹底的に払拭をするということを、1か月でも毎日1時間取るぐらいの時間をかけて皆で行いました。ときには、知り合いや、ティールを導入して失敗した方、成功している方と情報の共有会を開いたこともありました。そういったことで、今よりもっと会社をよくしたいと考えるメンバーが「こういう企画が必要だよね」というようなアイディアを発言できたり、いろいろと生み出される環境になったと思うので、前回お伝えをしたティール組織を取り入れる中でのポイントにあった超絶怒涛のコミュニケーションも、いい影響につながったと考えています。

関連イベント

2020年4月28日

Bright at Work 〜先駆者企業が語るティールがおすすめ組織とは?』〜

※本記事は、上記イベントでの登壇内容を記事にしています。

登壇者プロフィール

菅 将人

東邦レオ株式会社 人財戦略室
ニックネームは「ガースー」。サラリーマン登山家

大分生まれ大阪育ち。近畿大学農学部卒業後、2013年より東邦レオへ入社。名古屋を拠点に中部エリアで木造住宅部門の営業・工事・メンテナンスを担当。
その後2017年、人財戦略室を立ち上げ。採用をメインとした人事を中心に、写真・動画によるプロモーション、Webメディア、アート制作などを兼務。
今年、オンラインサロンCSV大学(仮)を立ち上げ予定。
山が死ぬほど好きで、7大陸最高峰登頂を目指す山バカ。国内では夏季を中心に初心者向けの登山ツアーを企画。

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