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先日、菓子メーカー大手のカルビー株式会社が、2017年4月から、もともと2日までだったテレワーク日数の上限を撤廃し、毎日でも在宅勤務を可能とするというニュースが話題となりました。
テレワークという働き方は就業者、企業、社会にとってそれぞれメリットがあり、国も具体的な数値目標を立て、予算を投じて企業や団体への導入を促しています。
既にテレワークを導入している企業は7.9%にとどまるなど、(情報通信白書)なかなか導入が進んでいません。

今回は、そんななかで先駆者ともいうべきテレワーク導入企業の具体的な事例をいくつか紹介します。

【強力なリーダーシップの下、ダイバーシティ改革を進める カルビー株式会社】
・テレワーク導入状況
2010年の「ダイバーシティ委員会」の発足後、従業員のライフワークバランス向上のために、数々の支援制度を取り入れています。
そのなかで「柔軟な働き方への支援制度」の1つとして2014年より在宅勤務制度をスタート。

・労務管理のルール
在宅勤務実行の前日までに上司にその旨と業務内容の連絡を、口頭やメールにて行います。終業後は、メールにてアウトプットの報告を行います。
成果主義に基づき、年間目標を達成することが評価方法となっています。

・テレワーク導入による効果
在宅勤務トライアル時期のアンケートにて、「子どもの送迎がしやすくなった」「通勤時間削減により、ゆとりができた」など前向きなコメントが寄せられました。

・特徴
特にカルビーにおいては、「多様性なくして成長はない」という経営トップによる強いメッセージが特徴で、ダイバーシティが積極的に推し進められています。
その軸にしっかりと成果主義を据えることで、企業としての成長も確実に果たされています。
働き方改革の一環として導入されたフリーアドレスより、急速にペーパレス化が進むなど、環境面や従業員の心理面の柔軟性もテレワーク導入推進の原動力といえます。

【テレワーク文化発信のけん引役 日本マイクロソフト株式会社】
・テレワーク導入状況
日本マイクロソフト株式会社は、重要な経営テーマのひとつに「多様な働き方の推進」を掲げ、いつでも・どこでも全社員が活躍できる「フレキシブルワーク」として実践しています。
2007年に在宅勤務制度を導入。2011年の東日本大震災時にBPCが発令されたことを発端として、テレワークが急速に普及しました。
2016年5月には、従来の在宅勤務制度を廃止し、新たに「テレワーク勤務制度」を設定し、企業としての生産性と社員のワークライフバランスの向上をより一層目指しています。
勤務が可能な場所は、従来の自宅に限らず「日本国内で業務遂行に適切な場所」とし、最大5日まで取得できるとしています。
利用単位も、それまでは1日単位でしたが、「1日の業務時間のうち必要なだけでも可」とするなど、フレキシブルな内容となっています。

・労務管理のルール
在宅勤務開始にあたっては、申請ツールでのエントリーや上司との面談を行います。
日常の労務管理として、始業終業時の声掛け、スケジュール表の公開、状態確認シグナルのリアルタイム公開、Web会議システムなどの常時起動を行っています。

・テレワーク導入による効果
社員のワークライフバランスの満足度が40%アップ、女性の離職率が40%ダウンするなどの成果が出ています。また、「現在の仕事と生活にとってテレワークが必要か?」との問いに94%の社員が必要であると回答しています。

・特徴
企業としての姿勢、在宅勤務にあたっての自由度や、各種ツールを駆使した労務管理など、テレワークの導入企業として特に先駆的な企業と言えます。
クラウドを最大限に活用した情報システムの構築により、もはやテレワークは日常となっています。
定期的にフレキシブルワークの効果測定を行っており、その結果や指標が各方面から注目を集めています。
また自社を「ワークスタイル変革のリーディングカンパニー」として位置づけ、「マイクロソフトテレワーク週間2015」を開催するなど、社外に対するテレワークの普及にも努めています。

【航空業界におけるテレワーク推進パイオニア 日本航空株式会社】
・テレワーク導入状況
日本航空は、場所にしばられない働き方をすることで生産性の向上を目指すことを目的として、2014年からテレワークをトライアルで実施し、改善を重ねながら翌年には制度化しました。
在宅勤務が行える回数は週に1回で、在宅勤務に半日年休や直行直帰を組み合わせることもできます。
所定の労働時間を勤務すれば、勤務時間の一時中断が認められる分割勤務制度や、個人で日ごとの業務開始時間を選べる勤務時間選択制度を設定するなど、柔軟な時間の使い方ができるようになっています。
予想以上の効果を得られるとして、制度の規制緩和などを検討中とのことです。

・労務管理のルール
勤務時間選択制度は、前日までに翌日の勤務時間を申請します。
申請はメールで行えます。自宅以外で作業する場合は、紙資料の持ち出しを禁止したりのぞき見フィルターを使用したりするなど、セキュリティ面において具体的なルールを設定しています。

・テレワーク導入による効果
業務に集中できるようになり、想像以上に生産性向上が実現できていると社員から声が上がっています。
新卒で入社した女性総合職で30歳代に残っているのは30%程度であったのが、80%以上にまで改善するなど、特に女性の就労環境改善に大きな効果を得ています。

・特徴
日本航空は、航空業界で初となる「テレワーク推進賞会長賞」を受賞するなど、航空業界におけるテレワークの先進的な存在となっています。
テレワーク導入を『「ビッグピクチャを描きつつ、スモールステップで進む」という方針』(http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=8757&page=4)で進めています。トライアルは4回繰り返し、導入後もより使いやすい制度となるよう調整しており、実践する社員の声を聞き入れながら段階を踏んでいくスタイルは、多くの企業にとって参考になると考えます。

まとめ
今回ご紹介した企業はいずれもテレワーク導入によって、ワークライフバランスや生産性の向上などテレワークのメリットを実感し、今後ますます制度を拡充する方向で歩んでいます。また、小売大手の三越伊勢丹ホールディングスが、2017年4月から育児中など時短勤務を希望する従業員を対象としたテレワークの導入を試験的に開始するなど、業種についてもさまざまな企業がテレワークを導入しています。先進的にテレワークに取り組む企業の具体的な事例は、会社の大小や業種に関わらず多くの企業にとって参考になると考えます。

注)2017年4月現在の内容であり、ご紹介した企業様の制度は変更されていることがございます。

参考URL
平成27年度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-
http://www.mlit.go.jp/common/001124888.pdf
厚労省 テレワーク活用の好事例集
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/tele-koujireisyuuH26.pdf
平成27年度テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰
http://kagayakutelework.jp/pdf/telework_jirei_2015.pdf
総務省 テレワーク先駆者百選 取り組み事例
http://www.soumu.go.jp/main_content/000422689.pdf
第3回JTAトップフォーラム「テレワークでワークスタイル変革」開催レポート
http://www.japan-telework.or.jp/files/doc/20160218JTAtopforumreport.pdf

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