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ティール組織の事例

よくあるティールの誤解は「ティールは、スタートアップとか人数が少なかったらできるんですよね」というものです。他には「IT企業だったら分かりますけど。」ということもよく言われます。しかし、フレデリックが出会い事例としてあった十数社は、ほとんどそれにはいずれにも属さない企業でした。ほとんど20~30年以上で、規模も100人以上。中には4万人の電力会社もありました。また、業態もトマトケチャップ、ねじ会社、自動車、訪問医療、教育などのさまざまな組織で展開されています。

今回は、ティール組織の企業事例をご紹介します。

事例をご紹介するに際して、ちょっと大事にしたいことがあります。

1つは、10社あれば10社とも全然違うやり方でやっています。

方向性としては似ているのですが、詳しく見ると全然違ういます。なので、1社を全てと思わないでください。というのも、ORANGEパラダイムで言うと、再現可能性が大事なので、ある組織がKPIを使ってたら、他の組織もKPIを使うということができます。また、1 on 1といったパーツもありますが、どんどん真似をし合うというのがORANGEですが、ティールは、本当にその業界とか存在目的や構成メンバーとか時期によって、なにが合うかは全然違います。それによって、進化し続ける組織なので、10社とも違う形態と成長プロセスがあるということです。そのため、安易に一つを見て真似ようとするのはやめたほうがいいです。

2つ目は、新しい概念なので、自分の今知っている枠組みや理論で吸着し無理やり理解しようとせず、ありのままに捉えるようにトライしてみてください。

フレデリックは、「要約はできるだけ読まないほうがいいよ」っていうふうなことを言っています。要約者の現在のパラダイムがその文章に如実的に反映されてしまうので、こういっているのです。

3つ目は、ティール組織は、正解でもないし、目指すべきものでもないということです。

これが凄く重要なのです。組織を段階で説明されているので、ティール組織は最先端で、かつ、正解で全員が目指すものというメッセージとして感じやすいのですが、フレデリックは、一切そういうことを言っていません。歴史を俯瞰して見るとティール組織が少し出はじめているし、これからも増えるだろうと言っているだけなのです。

実際、フレデリックと話した時に、会話の中で「いまの時代だったら、正直オレンORANGEとかGREENとか幸せで稼げるかもしれない」とも言っていました。

今という時代は、馬車の時代に車からあらわれたようなものです。道路がまだ砂利道で、部品も高いし壊れやすいし、ガソリンスタンドも全然ないんです。そんな中で車を買っても、大変なんです。

組織を取り巻く今の環境は、株式は四半期ごとの結果を求めて、会社法はきちっと代表に責任が行くようになっています。そんな中でティール組織は本当にやりやすいかと言うと、そうでもないかもしれません。

そういったことを理解しておいていただきつつ、ただ、ティールが現われてきているという事実と、ティールで生まれているいろんなやり方っていうのは凄く参考になるかもしれません。それは皆さんを健全なORANGE、健全なGREENに使えるのかもしません。また、将来的に、新卒の学生たちは、就職活動でAMBERやORANGEの組織は選ばなくなってくるかもしれません。そういったときに、もしかしたら進化するときが来るかもしれません。

ティール組織の事例 〜ビュートゾルフ社

ビュートゾルフという組織をご紹介したいと思います。

『ティール組織』の中でも一番ページがさかれていて、一番驚きを与えている組織です。訪問医療の組織ですが、このビュートゾルフの素晴らしさをしる上では、オランダにおける訪問医療の歴史を知るのが1番いいと思います。三段階の歴史があると言われていて、ビュートゾルフは三段階目に登場したと組織です。

1段階目は、個人経営の時代です。

要は、訪問看護をしている人が地域でこじんまりと障がい者さんとか高齢者さんの家を訪ねてコミュニケーションを取って、適宜、医者をお連れしながらケアをするっていうことを地道にやっていた時代です。そんな時代が一番古い時代です。

2段階目は、組織化していくというフェーズです。

看護師という仕事は、凄く専門的な仕事です。知識も使いますし、心も使いますし、肉体も使うので、凄く専門性が高く、実際、給料も高い仕事だと思います。そんな中で、電話をかける行為は、そんな専門性が高く、給料が高い人にやってもらうのはもったいないということになります。そのため、別にコールセンターを作った方が、より多くの人を幸せにすることができるので、少しずつ組織化を図っていき、スケールメリットを図るために最適化をしはじめた時代です。つまり、給料が高い人は専門性の高い仕事に集中できるようにし、電話をかける行為などは集約化。そして、ものさしではかることによって、自分たちの業務が適切に人に喜びを与えているかが分かってくるようになります。そのため、標準時間を設けたり、業務を評価したりするようになります。Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、バラバラでサービスをするよりも、成功事例のAさんの事例を学んで、Dさんがやったほうがより喜んでもらえます。そのような俯瞰的な視点は、現場に集中しているとできませんので、なので何人かに一人マネージャーというちょっと俯瞰的な立場を置き、サービスを均質化していくっていうことが可能になりました。なので、現地マネージャー、地域マネージャー、統括マネージャーといったものを置いて組織化していきORANGEの時代になるわけです。
しかし、このやり方がいつくかの弊害を生み出していきました。例えば、ある利用者さんが「また、新しいスタッフがやってきた。私の病状をちゃんと伝えないと、ちゃんとしたケアをしてもらいたいから丁寧に説明するけども、私の病状をちゃんと説明しようと思うと、やっぱり触れたくない歴史にも触れないといけないわ。また気をつかうし、でも言わないといけないし。でも憂鬱だな」と思いながら、新しい看護師を迎え入れます。ある利用者さんは、「あの看護師は、凄く素敵な人。だけど、あと20分一緒にいてくれたら私、今日一日すごくハッピーなのに、だいたい1時間ぐらいすると、そそくさと次に行かないといけないんですって言って帰っていく」と。だけれども、「分かってるの。あの人も忙しいから、次に行かないといけないっていうのは分かるけれども、でもあと20分一緒に過ごせればな」っていうことを思っているかもしれません。
一方、看護師のほうに目を移すと、看護師も分かっているんですよね。看護師の方はやっぱり人が好きで、人を幸せにしたいと思っている人が多いので、この利用者さんはあと20分いたら幸せになるっていうことは分かっているわけです。あるいは、マニュアルに書いてあることが基本的に正しくても、この利用者さんに限っては、こういうことをしてあげたほうがいいって分かってても、やったら点数がつかないとか、反省文を書かされるとかっていうのがあるのでできないと。そもそも、このマニュアルを作ったのは誰だと。全然、現場の本当の感覚が再現されているとは思えないと。その中でだんだんと看護師も疲弊していくっていうことが生まれてきます。

そんな中、13年前ぐらいに、このビュートゾルフの代表のヨス・デ・ブロックという看護師が既存のそういうやり方をすべてやめてしまおうと。私たちは、利用者さんが幸せになることは全てやろうと。そういうふうに根本的に、そして組織の作り方も今まで弊害になるような組織の作り方を完全に変えて新しいやり方でやろうということで始めたのがビュートゾルフです。

その結果、2006年に10人で設立したビュートゾルフですが、設立13~14年目で1万4000人を超えています。そして、バックオフィスみたいなものがほとんどなく100人未満です。ほとんどがコーチで、基本的には、12人ぐらいのチームが1000チームぐらいずらっと並んでいる感じです。そこにヨス・デ・ブロック1人代表がいるという状態です。その12人が全て権限を持ってやっています。その結果、利用者満足度は、オランダで圧倒的ナンバー1なのは想像に難くないと思いますが、驚くべきことは、従業員満足度がオランダで全業種を超えてナンバー1に何度も輝いているということです。訪問医療・訪問福祉っていうのは、日本でも給与が上がらなく辛いという中で、従業員満足度が高まらないという現状があります。その業種が全業種を超えてナンバー1に輝いているっていうのは圧倒的なものです。

その脅威のビュートゾルフの特徴は、二つあります。

一つ目は、最大12人のチームが横並びでずらっとなっていて、その12人のチームには一切、指示命令はなということです。二つ目が情報が完全に透明であることです。それらの全てのチームが相乗効果を生む全体の仕組みもありますし、最低限の経営者の役割というのもあります。

1万5000人の組織にボスはいないわけです。12人チームにもリーダーのようなポジションは作りません。役割は分担をしますが、リーダーっていう責任者を置くことが大きな弊害になるっていうことを分かっていますので、そういうものは置きません。12人が、人事、総務、ケアプランの作成、医療機器の調達、新人の育成、請求、全ての業務を自分たちの決定権を持ってやっています。ときどきコーチに相談したりとか、専門家を雇うパターンもありますが、基本は12人で完結します。

例えば、ここで分かりやすい事例をご紹介します。

訪問医療の中には、高齢者が怪我をしてそれに対してリハビリをして生活を取り戻すっていう仕事があります。ある看護師たちが、やはり怪我のケアをしたあとはどうしてもリハビリしても元の生活基準には戻らないということに注目をしました。そこで、そもそも怪我をしなくなるためのプログラムを提供するようになりました。それをあるチームがやりはじめたら凄く好評で大ヒットしたそうなんです。今までの組織論で言うと、このチームから素晴らしいサービスが生まれたら、経営層が吸い上げて「じゃあ、一斉に他のチームでもやりましょう」って言って展開していきますが、ビュートゾルフでは一切しません。そうやって上層部が吸い上げて展開していくことが増えれば増えるほど、どんどん現場からはやらされ感が出てしまいます。次から次へと経営方針がやってきて、サービスが増えて、本当にそれ必要なのって思うものも降ってくるっていうふうになるので、基本的には生まれた成功事例は、上が吸い上げて一斉に広げるっていうことは一切やりません。ただ、情報が透明性があって、全員がアクセスできるようになっているので、勝手に勉強会が開かれたりとか、勝手に真似たりとかして、いつの間にかほとんどのチームが、その予防のやり方を展開しているというのがいつの間にか生まれています。なので、いまだにチームによっては、やっていないところもある。でも、責められないですし自由です。そうしながら、本当にチームの決定権というものを崩さないようにしているのが特徴です。

二つ目は情報の透明性です。iPadが全員に配られているので、常に経営上の数値だけでなく、チームがどれだけの時間を使っているのかとか、満足度がどうかっていうのも全部見えるようになっています。成功事例も素早く共有されます。なので、困ったら誰に相談すればいいかも分かりますし、自分たちがちゃんとサービスを高クオリティでやれているのかっていうのも見える化されています。ただ、この数値が悪くても、誰もそれに対して何かしなさいと言ってくる人はいないのです。なので、あるチームは、ずっと赤字が続いていたとしても、それに対して何も言われないです。ただ、そこまで信じることによって、勝手にそのチームが他のチームから勉強会を招くことによって、どう改善しようかっていうことで、自分の力で勝ち上がってくるということが起こっています。それを生むために情報が透明化されているというわけです。

その他、社内SNSも充実しており、そこで成功事例がシェアされたり、訪問医療なので障害に関しても難易度の高い障害の専門家はこの地区でもここにいるなどと、Googleマップのように全員のスタッフの専門性みたいなのがマッピングされています。そのことによって、すぐにアクセスして情報を送ることもできたりします。E-Learningのシステムも整っています。現場で自由に人材の採用できるので、どういうふうにすると適切な人が採用できるのかなどを、自分たちで勉強して採用することができるようになっています。
とても大事なのは、チームで意見が相違したときの対立解消の技術もほぼ全員が学んでいるということです。対立したときに、リーダーがそれを解決しようとしたりとか、人事部が解決しようとしたりとか、社長が解決しようとすると、そこにヒエラルキーが生まれます。結局その人に気に入られることで、社内でパワーがもらえるんだっていうふうになると、それによりじわじわっと階層構造が復活したり、政治ゲームがはびこる理由になります。そのため、自分たちで対立は解決できるスキルを学ぶということをやっています。

結果、ほぼ経営者の役割はどんどんなくなっていきます。基本的に計画、マネジメント、意思決定などはしません。なので、外の顔としての社長であったり、採用市場で自社のブランドづくりなどをしており、旧来の経営者のような仕事はほとんどなくなっていきます。

関連イベント

2020年2月12日

Bright at Work 〜自分らしく生きる・働く『ティール組織』〜 https://bright-at.work/eventreport20180220/

※本記事は、上記イベントでの登壇内容を記事化しています。

登壇者プロフィール

嘉村 賢州

  • 場づくりの専門集団NPO法人場とつながりラボhome’s vi 代表理事
  • 東京工業大学リーダーシップ教育院 特任准教授
  • 「ティール組織(英治出版)」解説者
  • コクリ! プロジェクト ディレクター(研究・実証実験)
  • 京都市未来まちづくり100人委員会 元運営事務局長

集団から大規模組織にいたるまで、人が集うときに生まれる対立・しがらみを化学反応に変えるための知恵を研究・実践。研究領域は紛争解決の技術、心理学、脳科学、先住民の教えなど多岐にわたり、国内外問わず研究を続けている。実践現場は、まちづくりや教育などの非営利分野や、営利組織における組織開発やイノベーション支援など、分野を問わず展開し、ファシリテーターとして年に100回以上のワークショップを行っている。2015年に1年間、仕事を休み世界を旅する。その中で新しい組織論の概念「ティール組織」と出会い、日本で組織や社会の進化をテーマに実践型の学びのコミュニティ「オグラボ(ORG LAB)」を設立、現在に至る。

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