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ティール組織の3つの特徴

ティール組織を理解するに二つの切り口があります。
1つ目の切り口が、前回の記事でお話した組織の歴史の話です。もう1つの話しが、ティール組織の3つの特徴がです。今回は、3つの特徴についてご紹介をしたいと思います。

ティール組織の3つの特徴

フレデリックは生命体のある組織が理想だと考え、アンテナをはっていろんな事例を見て行ったところ、三つの特徴がありそうだというところに行きつきました。1つ目は自主経営(Self-management)。2つ目が全体性(Wholeness)。3つ目が存在目的(Evolutionary Purpose)です。

1つずつ見る前に、少しだけ前提となるお話しをしておきたいと思います。
フレデリックは、いまの組織は人間が本来持っているエネルギーというものをことごとくせき止めてしまっているのではと話しています。
例えば、評価制度一つをとっても、思い描いていただければと思いますが、マネージャーが頑張って評価していますが、変に評価するとちゃんと見てくれてないとに嫌われてしまう仕事でもあります。そのため、1 on 1をしたり、様々な評価方法を使って慎重に評価をしていきます。ただ、マネージャーも自分でやったことがある仕事はその価値は分かりますが、やったことない仕事まで事細かに公平に見るって難しいです。膨大な時間とエネルギーを使いながら、一人ひとりの評価をしていくわけです。
一方で現場からすると、同期で入った仲間と給料が違うと「なんで、あいつのほうが高いんだ」や「明らかに俺のほうが活躍しているのに、やっぱり俺の上司はちゃんと見てくれない」などと、そういう妬みの感情を持っています。
マネージャーを使っている時間やエネルギー、現場で動いている妬みとかに、エネルギーを使うのはもったいないです。なんのためにその会社に入って、なんのための喜びを持って仕事してるかと言うと、本当にお客さんのためにアイデアを巡らせて、それを届けることが本当にしたいことなのに、これやったら嫌われる、これやらないとっていう形で、膨大なエネルギーの時間を使っています。

そのときに本当に人が持っている素晴らしさっていうものが全然せき止められているじゃないかと考えています。そういうところを開いたときに組織ってどうなるのかっていうのを見てみたいということです。
言い方をかえると、地上のペンギンはよちよち歩きのようなちょっとかわいいところもありますが、おぼつかない感じの動きです。それがひとたび海の中に入ると、1リットルのエネルギーで2000キロぐらいで動きます。だから、生命体というのは、環境によって全然違うパフォーマンスをする。それがティール組織とティール以外の組織では、ちょっとレベルが変わるどころか、そもそも根本的に違うパフォーマンスになるかもしれないです。そこを目指しているのです。

自主経営(Self-management)

自主経営(Self-management)tは、実は自然界にはそういうものが多くあります。この自主経営(Self-management)という言葉は、凄く誤解が多いです。よくある誤解は、自分を律することができて自己決定ができる優秀な人たちの集まりという誤解で、自己マネジメントできる人が必要要素なんですよねって言われるのですが、その意味は全くありません。フレデリックが言っているのは、組織構造の話です。

今まではヒエラルキーでやっていた組織構造が、ティール型組織の事例では、ヒエラルキーを使ってないという意味で自主経営(Self-management)と言っています。そのため、優秀な人というのは誤解です。
実は、自然界にはそういうものがいっぱいあります。
例えばニューロンで、神経細胞も中央集権ではなく、それぞれが電波を送り合いながら高度なことを成し遂げています。
また、グローバル経済も各企業が誰に指示されるわけもなく、「このサービスがあったら世の中を喜ばせられるんじゃないか」ということで、商品をつくって、価格設定をして、営業活動をしていて、それぞれが自由にやりながらも経済という調和を生み出しています。
鳥の群れもそうです。長距離移動するときに、鳥が群れを成していきます。先頭に立っている鳥は、ころころ入れ替わって飛んでいきます。例えば、その先頭の鳥が、不慮の事故で亡くなったとしても、なんの問題もなく、違う鳥がまた先頭になって飛んでいきます。
こういった動きを専門用語で自己組織化と言いますが、自然界にそういう自己組織化しているものっていうのは山ほどあるわけです。
ただ、人間はその自己組織化をあまり使っていません。

ティール組織のことをちょっと皮肉に現していた話です。
森には、たくさんの生命が織りなしています。動物とか、植物とか、微生物とか、昆虫とかいろんな生命が山にはいます。てっぺんに「二本の木」が立っているのですが、「皆さん、待機してください。私が冬が来たらアナウンスしますから。そのときにはみんな一斉に冬支度をして、この厳しい冬を乗り越えていきましょう。」といったことを言っていると思ってください。
しかし、自然界でそんなことは全くありません。というのも冬が、いつもより早く来るかもしれないし、遅く来るかもよめないですし、いつもより厳しい冬が来るのか、穏やかな冬が来るのかっていうのは全くよめません。そのため、指示命令することは不可能なのです。
自然界がおこなっていることは、湿度の変化とか、気温の変化とか、太陽の変化とかを掴みやすい微生物や植物がまず色を変えたり、形態や動き方を変えます。そうすると、その変化に気づいた小動物などがまた動きを変えます。そして、またそれに気づいたものが動きを変えていくという感じで、全生命体がセンサーを持っていて、周りの変化を敏感に察知して、自分の行動をとっていくっていうことやっています。そして冬を乗り越えていきます。

ただ、人間界はどうかと言うと、あるときに担当者が係長に「いや、今日のクライアントの反応から見るに、どうも今年は厳しい冬が来そうです。これ、対処しないとえらいことになると思いますよ」と言っても、「お前さ、一人のクライアントでそうわめくな。だから、お前はいつまで経っても仕事ができないんだ。一応お前の言うことも上には言っとく」と言うか、もしくは、ただ書類を受け取って回すだけかもしれません。ですが、熱量は伝わっていかず、書類の伝言ゲームになってしまっています。もしくは、決定したとしても1か月後ぐらいかもしれません。そうすると、担当者もこの組織は何を言っても変わらないし、報告するだけ無駄なエネルギーだと感じてしまいます。更には、そもそも考えておかないでおこうともなっていってしまいます。

そのようなことが近年の社会では生まれてきているときに、どちらのほうが本当に自然で豊かなんだろうか、適応力があるんだろうか、ということを問いかけているのです。これが自主経営(Self-management)の表している形です。
こういった自然の自己組織化的な組織をつくるために、いろんな仕掛け、仕組みをティール組織の本には書いてます。教育や採用について、あるいは、情報共有の方法や評価など。今回は、意思決定の方法をご紹介したいと思います。

自主経営(Self-management)での意思決定

RED、AMBER、ORANGE、GREENなど、ティール以前は意思決定には2種類の方法がよく使われています。1つ目はヒエラルキー。簡単に言うと、上司の承認をもらうという、ものです。上下関係であったり、稟議とかもそうかもしれません。1個上の階層の人にもらうであったり、リーダーに決定してもらうっていうのもあるかもしれませんし、そこから上にあげていって、最終は社長が決めるっていうこともあるかもしれません。場合によっては物凄く速いのですが、場合によっては物凄く時間がかかります。
もう1つ、コンセンサス(consensus)です。簡単に言うと、会議にかけるってというものです。何かやりたいことがある人は、書類を作って、会議に持って行き、「これでどうですか?」って言うと、喧々諤々、議論をしながら、組織によってはそこで多数決をとるかもしれませんし、完全一致まで話すチームもあるかもしれません。その中の上司が決める場合もあるかもしれません。それは、組織によって様々ですが、会議でお墨付きをもらうっていうことが二つ目のやり方です。これがGREENまでの組織に行われていました。

しかし、驚くことにティール組織の事例の数々では、ほとんどこの二つが使われていなかったのです。
その代わり使われているのが、助言プロセス(ADVICE PROCESS)というものです。ティール組織では、権限委譲っていう言葉もよく書かれているのですが、権限委譲はGREENなど上下が前提なんです。上の権限をより下に与えるっていう権限委譲は本当はティールでは使いません。
ティールの発想は、同じ人間なのだからあらゆる人には権限があるという前提があって、その上で、好き勝手に決めすぎるとカオスになり、物事がうまくいかなくなってしまうので、それなりのプロセスは必要ですよねっていう考え方です。なので、ティール組織では、はさみを買うのも、100万円で何かを予算をつけて動かすのも自分で決められます。あるいは、ノウハウがちょっと足りないから、外部から先生を呼んで勉強会をやりましょうということも、あるいは、チームで新しくやろうとしているあの事業は能力的に私たちで足りないから人を雇おうっていう採用プロセスも、あるいは、究極、進んでいるところは自分の給料も含めて、自分で決められるっていう前提に立っています。

ただ、好き勝手に決めたらカオスになりますので、そのときにこの助言プロセスの出番です。いま決めようとしている内容に関して専門性が高い人がいます。また、何かを決めて行動することは、それに影響を受ける人がいます。
その2種類の人たちにはアドバイスを求めましょういうものです。専門的な人や影響を受けそうな人たちは、アドバイスを返してあげますが、提案者はそれらを真摯に配慮した上で、最後は自分で決めていくというのが助言プロセスです。
「確かにその気持ちは分かるけど、今回はこれで行く」ということを別に承認をもらわずに、提案者が意思決定できます。そうすることによって、この組織では他責の言葉が一切、生まれなくなります。「うちの上司は、頭が硬いから」とか、「うちの組織は古い体質だから」って言いようがないのです。

しかし、この助言プロセスはセンセーショナルなものなので、ティールを読んだ人もこぞって導入しようとされるんですが、それで失敗している人も多いです。ティールの事例では、助言プロセスで動いている組織がほとんどですが、それができるようになるにはいろんな道筋が必要です。例えば、失敗したときに対する周りの態度です。それに対して糾弾する文化なのか、それはあなたが頑張ってチャレンジしたものだから、そこから学びを得て次をやればいいんだよねっていう失敗に対してどう捉えるかっていう文化が成熟している。
あるいは、情報の透明度です。社長が持っている情報と現場が持っている情報が違っていると、一部の情報で凄い経営的なジャッジをする可能性があるので、それは壊れてしまう。
情報の透明性が担保されている、あるいは、真剣にお互いがアドバイスを送り合うような文化。それが全部できて、はじめて助言プロセスが機能するのです。

全体性(Wholeness)

続いて、全体性(Wholeness)のお話しにいきたいと思います。全体性(Wholeness)には、2つの要素があります。

ティール組織では、複数役割は大歓迎です。会計入力やっている人が、営業もしますし、社内保育所の保育士をしたりとか、そのようにいろんな役割をどんどんとっていきます。場合によっては、変化をさせていくことも自由になっています。これが1つ目の全体性(Wholeness)です。

もう1つの角度からの全体性(Wholeness)もご紹介します。人間というのは、例えば、年末とか私たちたっぷり長期間休みがあるとくつろぐことができ、また、ちょっと忙しさから離れることができると穏やかな気分で過ごせます。そのときに、オーストラリアで山火事があるとかって話しを聞くと、「あー、なんとかしてあげないといけないな」と思えたりします。しかし、忙しいとなかなかそういうところにも思いを馳せることができなかったりします。そういう思いやりなどは、穏やかなときに持ってていたりします。ですが、日々の日常の忙しさの中で、自分たちはどちらかと言うと、戦っていたり承認を求めたり、そういうことに終始してしまうことが多くなってしまいます。
また、人間は、何か物事を力強く達成していく男性的な部分と、何か繋がりとか温もりとかそういう支え合いみたいな女性的な部分というものがあれば、性別を超えて持っていると思いますが、仕事現場ではどっちかと言うと、男性性が優遇されやすいです。
さらに、人間は、感情を持ったりとか直感もあったりとか、スピリチュアリティーを持っていますが、合理性・論理性もあります。しかし、仕事の場では、感情を出すと「プロでしょ。」や「お金をもらっているのに、泣き言をいうんですか。」と、どちらかと言うと感情はおさえるもの、コントロールするものという形で扱われています。

しかし、本当にそうでしょうか。
感情は、あなたが本当にあなたらしく働く上でそれができてないというセンサーやメッセージかもしれません。その感情を我慢したりとか、おさえるっていうことは、本当に必要なんでしょうか。いまのビジネスフィールドでは、理性的であり合理性であるということが凄く重要視されているように思います。
フレデリックは、そんな仮面をかぶっている職場人生に対して、人生の大半の時間を過ごす職場で過ごしていて本当に幸せなんだろかということを言っています。

友達と過ごすように、家族と過ごすように、なぜ仕事場で過ごせないのか。本当に大切な仲間たちと本当により良い世の中のために何かをアウトプットするのであれば、ミーティングが終わったあとにより元気になって、外国人の人の言葉で言うと、ハグをしたい気持ちにならないんだろうかと。なぜ、いまの組織は、電子レンジはあるけれども、キッチンがない。明らかに効率的に物事を処理する場所に職場はなっているんじゃないだろうか。
そのあたりの当たり前を全て疑って、安心・安全な職場をつくったときに、私たちのエネルギーとかパフォーマンスとかはガラッと変わるんじゃないだろうかということをフレデリックは言っているわけです。これが2つ目の全体性(Wholeness)のことを表しています。

存在目的(Evolutionary Purpose)

3つ目の特徴は、存在目的(Evolutionary Purpose)です。
フレデリックは、世界中の組織を見て回ったときに驚いたことがありました。それは、ことごとくティール型組織の事例では、中長期事業計画を持っていなかったということです。フレデリックは、ゴール設定、目標設定というものに警鐘を鳴らしています。それは分かりやすいかもしれませんが、社会のそのときどきの変化、自分たちのそのときどきの変化、いまこの瞬間に価値があると思っても、計画があることによって踏み切れなかったり、そういう弊害のほうが多いのではと思います。

ティール組織では、そういう中長期事業計画を持たずに、その瞬間ごとで事業内容とか組織構造を変えながら進んでいる組織が多いという特徴にフレデリックは気が付きました。

しかしそのためには、それぞれが自由に意思決定して動いていくということも大切ですが、お互いに聞き合うということも大事にしています。
簡単に言うと、今までの概念だったら、ミッションがあって、ビジョンがあって、中長期事業計画があって、そのために動いていっていましたが、ティール組織ではまず動いてみて、それによって自分たちが世の中にこういう価値があるのかもしれないというを感じたら、素早くメンバーで共有して話し合い、そしてまた動く。動くことでまた発見があるので、それを共有して、自分たちの新たな価値をまた気づき合い、その上で違うやり方もあるのではというアイデアが出てきます。そして、また動いていきます。そうやって動きながら「私たちはこのためにこの世界に存在しているんだ」ということを気がつき続けていく。
これが、その存在目的(Evolutionary Purpose)で、決して事前にしっかり定めるミッション、ビジョンというものとは根本的に違います。ただ、みんなが「このために存在するんだ」っていうのは常に考えているし、定期的に共有し合っているので、共有している感覚はある。そういったものが存在目的(Evolutionary Purpose)だと思っていただきたいと思います。

以上、自主経営(Self-management)、全体性(Wholeness)、存在目的(Evolutionary Purpose)の3つがティール組織の特徴です。

関連イベント

2020年2月12日

Bright at Work 〜自分らしく生きる・働く『ティール組織』〜 https://bright-at.work/eventreport20180220/

※本記事は、上記イベントでの登壇内容を記事化しています。

登壇者プロフィール

嘉村 賢州

  • 場づくりの専門集団NPO法人場とつながりラボhome’s vi 代表理事
  • 東京工業大学リーダーシップ教育院 特任准教授
  • 「ティール組織(英治出版)」解説者
  • コクリ! プロジェクト ディレクター(研究・実証実験)
  • 京都市未来まちづくり100人委員会 元運営事務局長

集団から大規模組織にいたるまで、人が集うときに生まれる対立・しがらみを化学反応に変えるための知恵を研究・実践。研究領域は紛争解決の技術、心理学、脳科学、先住民の教えなど多岐にわたり、国内外問わず研究を続けている。実践現場は、まちづくりや教育などの非営利分野や、営利組織における組織開発やイノベーション支援など、分野を問わず展開し、ファシリテーターとして年に100回以上のワークショップを行っている。2015年に1年間、仕事を休み世界を旅する。その中で新しい組織論の概念「ティール組織」と出会い、日本で組織や社会の進化をテーマに実践型の学びのコミュニティ「オグラボ(ORG LAB)」を設立、現在に至る。

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