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home’s vi、ガイアックス、英治出版の3社で共同開発したTeam Journey Supporterの紹介イベントレポート。
中編では、数年前にティール組織と運命的に出会い〜〜嘉村賢州さんによる、「ティール組織の視点から見たTJS」を紹介します。

前回記事

ティール組織への共感からその先へ
~ガイアックス、英治出版、場とつながりラボhome’sviの3社が手がける 新たなプロジェクト・Team Journey Supporterとは~

経営者が感動をして、トップダウンで導入するという大失敗事例は本当に多い。組織づくりは仲間とともに進んでいくものであり、押しつけることで矛盾が生じている

嘉村さん:
下田さんのほうからは、TJSがどうやって始動したのか、どういった内容のものなのかをお話ししていただいたのですが、やっぱりTJS始動の根っこにはティールから得た知見というのがありますので、僕のほうからは「そもそものティールの観点、フレデリックはどんなメッセージを伝えているのか」というような、ティール組織に対する正しい理解を改めて伝えながら、TJSについてひもといていきたいと思います。
まずは、ティールの色に関する部分なのですが、下田さんもおっしゃっていましたが、大前提としてティールは正解でも目指すものでもありません。
フレデリックは「時代を大局的に見た時に、今、ティール組織という新しい姿が誕生してきていて、これからも増えるだろう」と言っていますが、これは、馬車の時代で例えると、その頃に便利な車が表れたとしても、道路は砂利道だったり部品も高かったり、壊れやすくもあるため便利なものでもない。「今の時代にティールがいいかどうかというと、そうとは言えないかもしれませんよ。この知恵は、健全なオレンジをつくる、健全なアンバーをつくるときにも役立つかもしれませんよ」というもので、その思想がティールだと思っていただきたいです。

ティール組織は前のパラダイムを否定するものではなく、含んで新たに発展していくべきもの

ティール組織を説明するときに、よく海外でもこの図が使われますが、組織の発達段階を円で表しています。これは、以前のものを駄目だとまっさらにして新しいものがその後に出来たというわけではなく、発展していっているということです。
フレデリックは、その段階ごとにブレイクスルー(突破口)があるという表現をしていて、それぞれの段階には人類としての大発明があって、それらの蓄積によって、今のティールになっていると言っています。
さらに、よくある誤解として、「ティール組織は計画を手放したもの」と捉えられがちですが、計画は立てない、階層構造は全てなくすというのは正しくありません。
これはフレデリックも否定していて、例えば「iPhoneのような精密機械を造るのにはきちんとした計画が必要で、手放せないでしょ? しかし、人類は計画という方法を発明したことで、すべてのものに計画という手法をあてはめてしまっている。製品によっては1枚ものの企画書で充分なものもある。むしろ先に市場で試して、失敗した方が良いものもある。」と言っています。
つまり、計画も大事だし、計画なしで試すことも必要で、両方が重要だと捉えられ、全ての段階に意味があるのです。

多様性を尊重し活かしあうティールパラダイムの観点から組織構築に必要な要素をTJS独自に構造化

いろいろな組織を見ていくと、レッド、アンバー、オレンジ、グリーンという段階同士でお互いに否定し合うことが多いのですが、先ほども言ったようにティール段階に発達したリーダーというのは、これら全てに対して意味がある、全てがかみ合うことによって物事がうまくいくという「お互いをリスペクトする構え」が根底にあります。
ですが、ティール組織の本では主題がティールであるためにレッド、アンバー、オレンジに対する説明の分量がグリーンやティールに比べると少なかったりします。TJSではあくまでティール組織を大きな下敷きにしつつも、健全な組織に必要な要素を再定義し構造化を試みました。「Power(前に動かすエネルギー)」「Order(秩序・明確さ)」「Science(合理と分析)」「Humanity(人間性と人間関係)」という四要素を組織が健全に働く上での必要要素のカテゴリーとして設定しました。。そして、様々な組織の実践を調査した上でさらに細かい29項目が浮かび上がってきたわけです。
各項目は組織の中でその要素が弱い部分があれば何か弊害が生まれている可能性があったり、逆にその要素が強すぎても違う弊害が生まれる可能性があるという発想でアンケートを作っています。それらアンケートの結果を元に強み・特徴、進化の芽、現在地を探求するレポートが作られ、下田さんからも説明があったように、それぞれに解説資料がついています。

対話プロセスにこだわった~アンケートは取っただけでは意味がない

TJSの基本として、アンケートから見えたことを使いながら対話するプロセスを2時間×3回という形で行なうことを推奨しています。実際は3時間にするなどカスタマイズは自由に行って構いません。ですが、アンケートから得られたレポートを見て満足してしまったのではもったいないので、対話の部分に関してもしっかりとつくり込みました。
まず、今までのやり方から問題点を考えると、多くの組織では経営層で戦略や方針を決めて展開していくことが多くあり、生まれた施策に対する現場の無理解、部門ごとに対立構造、不満の蓄積が生まれやすかったりします。

ティールでは、基本として階層構造がないため、情報は透明性をもって全員で共有されます。TJSでも、あらゆる人が同じ立場で情報を眺めて対話をすることを大事にしており、リーダーだけが見られる情報というのは一切ありません。同じものに答え、同じものを見て、同じように話すという、全員で対話できるプロセス設計をしています。

ティール実践の知恵を盛り込んだプログラム

従来のやり方のもう一つ問題点をあげると、日々の会議の中における議論では、人間関係や人の感情よりも内容や実務、合理性ばかりを重視しがちな点が挙げられます。
どうしても課題に焦点を当てると攻撃的な発言を招いたり、働き手の自己肯定感を低下させてしまったり、関係性に分断を生じさせる要因になってしまいます。

そこへもティールの知恵を入れていくのですが、日本においてティール組織を標榜している組織でも会議に関しては手つかずであったり、「安心安全」が合い言葉だけ担っている場面も多く見受けられます。
例えば、日本では新しいことをやろうとしている人に説明責任を求めますが、海外のティール型組織では、反対意見がある側に説明責任が求められるミーティング方法を用いる、あるいは信念のある反対しか認めませんという会議の設計、相互理解や対立解消の手法、NVC(非暴力コミュニケーション)といったものが多く導入されています。

今回のTJSの対話プロセスでは上記で上げたような世界のティール組織の事例の要素をいくつか盛り込んでいます。問題に焦点を当てるギャップアプローチではなくて、より価値や可能性に焦点を当てるポジティブアプローチというものを採用させていただいたり、ストーリーテリングやNVCという、関係性の構築や深い対話を育む方法を提案させていただいています。

TJSでは、今の組織で実現できていることや強みにフォーカスを当てて、自分たちの力でチームを最高の未来へと育て上げていく

今までの組織では、組織の状態や生産性を物差しではかったり、人材の価値までも共通の物差しではかる評価制度をつくっていたりしているため、例えば、年に1回行われる評価面談は好ましくないもので、評価をする側もストレス、評価をされる人も恐怖を抱えるという事態が生じていました。
ティール組織ではそういった場を祝福の機会、相談の機会として実践されていて、その人自身がパーパスを生きられているかという点に耳を澄まし、お互いにどう貢献し合えるのかを探求しているのです。厳しいフィードバックはその都度やらなければ効果がないものとして考えられています。
TJSでも、今の組織で実現できていることや強みにフォーカスを当てて、そこで感謝や絆が生まれる対話が前提で、さらに未来像を描けるようなポジティブな雰囲気をつくっていく。まずは絆をつくった上で「でも、現実も見ないといけないよね」と現実を見据えていく設計になっています。ですので、いきなり他責の話し合いになるような物差しは使わずに、一人ひとりが大切にしている価値観や問題意識に丁寧に寄り添えるような対話プログラムとしてつくらせていただきました。

チームが最高の未来を築くために。そして最悪の未来を防ぐために

もう少し具体的に言うと、レポートでは現在のプラス面もマイナス面も表現されていますが、どちらかというと先にプラス面を重点的に見るようにしています。
個人の価値観や願い、理想像、チームの価値やすばらしさ、強みや共通する価値観というものが洗い出されていき、その上で、個人が持っている痛み・課題・問題意識ともしっかり向き合いながら、チームや組織が抱えている今現在の姿を見ていく。
対話し、行動していくことによって『どんな最高の未来をつくることができるのだろうか』、課題をこの先もほったらかしにしていたら『どんな最悪の未来がくるのだろうか』、この二つの観点で探求し、最悪の未来を避け、最高の未来に向かって進んでいく方法を共に探求していく。そういった3日間の設計になっています。

次回は、初お披露目となったTJSに対しての疑問や好奇心を、モデレーターとしてお呼びしたエール株式会社代表の櫻井 将さんから問いかけていただく対談記事をお届けします。

関連イベント

2020年11月9日

BRIGHT AT WORK〜ティール組織の研究者と実践組織が作り上げた 対話と自律型組織を促すTeam Journey Supporterとは?〜

※本記事は、上記イベントでの登壇内容を記事化しています。

登壇者プロフィール

嘉村 賢州

  • 場づくりの専門集団NPO法人場とつながりラボhome’s vi 代表理事
  • 東京工業大学リーダーシップ教育院 特任准教授
  • 「ティール組織(英治出版)」解説者
  • コクリ! プロジェクト ディレクター(研究・実証実験)
  • 京都市未来まちづくり100人委員会 元運営事務局長

集団から大規模組織にいたるまで、人が集うときに生まれる対立・しがらみを化学反応に変えるための知恵を研究・実践。研究領域は紛争解決の技術、心理学、脳科学、先住民の教えなど多岐にわたり、国内外問わず研究を続けている。実践現場は、まちづくりや教育などの非営利分野や、営利組織における組織開発やイノベーション支援など、分野を問わず展開し、ファシリテーターとして年に100回以上のワークショップを行っている。2015年に1年間、仕事を休み世界を旅する。その中で新しい組織論の概念「ティール組織」と出会い、日本で組織や社会の進化をテーマに実践型の学びのコミュニティ「オグラボ(ORG LAB)」を設立、現在に至る。

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