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ティール組織の導入企業事例(ヤッホーブルーイング社) ~組織構造と施策の紹介~

前回は、私たちヤッホーブルーイングがティールにも重なる組織変化を進めていくにあたり前段階についての話でした。その中でお話ししたとおり、最初の地ビールブームの後に売上げがグンと下がるわけです。しかし、そこからチームづくりやインターネット通販といった舵切りをしていきながら、今では15年連続で増収増益となっています。

今回は、今のヤッホーの基となっている組織構造や2008年辺りからググっと力を入れた取り組みの部分をお伝えしていきます。

ヤッホーブルーイングの組織構造

これらは、2008年から徐々につくりあげてきた経営理念です。「ミッション:会社の目指すべき方向性」「ビジョン:中期目標」「ガッホー文化;指針とする働き方」があり、加えて大切にしている価値観と、顧客に提供するバリューにより成り立っています。

ミッション「ビールに味を!人生に幸せを!」

まず、私たちは、自分たちのことをビール製造業ではなく「ビール製造サービス業」と位置づけています。その中でミッションとして「ビールに味を!人生に幸せを!」というフレーズを掲げています。いろいろな味わいのクラフトビールを通じて、ビールにはいろいろな味わいがあるんだよということを皆さんに知っていただくこと。また、それだけではなく、ビールを通じて少しでもお客様に幸せを感じてほしい、幸せになってほしい。そういった思いからこのミッションを掲げています。

ミッションを支える組織文化

では、このミッションを支えるのが組織文化、頑張れヤッホーに由来する「ガッホー文化」というものです。これは上下関係のない「フラット」な環境やコミュニケーションをベースにしながら、「究極の顧客志向」を目指そうという構造になっています。ただの顧客志向ではなく、究極を目指すことがポイントです。
そして、それを支える働き方として「自ら考え行動する」「切磋琢磨」「仕事を楽しむ」という3要素を掲げています。
以上の5つに加えて、ヤッホーらしさの切り口として「知的な変わり者」を加えた6つの要素によって「ガッホー文化」は構成されています。

「フラット」とはどういったことを示すのか

「フラット」という文化について説明します。企業として、仕事をやるからには高い成果を生み出したいわけです。成果を生み出すにはどうしたらいいかという視点で考えると、打ち手の質と量が重要となります。図解するならば、縦軸に「打ち手の質」を、横軸には「打ち手の実行力」を据えます。何らかの施策を実行するには、打ち手の質が高く、その実現可能性が高い方が成果に繋がりやすいという考え方です。
「打ち手の質」を上げるには、全員の意見を十分に抽出することが重要だと考えています。例えば議論中に1人が打ち手を提案した場合、すぐに「ではそれにしましょう」と上意下達に賛同するだけでは打ち手の質は上がってきません。いろいろな人が意見を出し合うことによって、新しいアイディアが生まれたり、よりよい打ち手につながったりします。ですので、フラットな環境をつくり、皆の意見を抽出することが大事になります。

「打ち手の実行力」をという点では納得感が重要です。例えば「これやっといて。」と上司から言われても、「確かにそれをやったら良さそうだけれど、なんか納得しないんだよね……もやもや」みたいな感じが生まれてしまいます。そのような中で打ち手がうまくいかなかった場合、「ちょっとやってみたけどやっぱり駄目でした」となってしまいます。ですので、全員がいかに納得をして取り組んでいるかが実行性を高めることにつながります。
この2つの「打ち手の質と実行力」を高めることこそが、最大の成果が生まれることに結びつきます。ですから、私たちは健全な議論ができるようなフラットな環境づくりが最重要だと考えています。

フラットな環境づくりへの施策

1.ニックネーム制

フラットな環境づくりとして行っている内容を幾つか紹介しますと、前回紹介をした「ニックネーム制」があります。社長のニックネームを「てんちょ」と言ったとおり、新入社員もパートさんも皆、「てんちょ」と呼んでいます。ほかにも「ピーピー」や「もっちー」などです。ちなみにもっちーは私の元上司ですが、上司にあたる人に対して、普通の会社では「もっちー!」なんてフランクに呼べませんよね。でも、ヤッホーは全員がニックネームで呼び合うため、これが普通なのです笑
これには、年齢も役職も性別も全く関係ありません。「さん」や「くん」「ちゃん」付けもしていません。役職呼びよりは親しみを感じますが、上下関係や距離感を感じることがあります。

例えば、「○○部長」と言ったら、部長と部下という関係が見えてしまったり、「○○さん」と言ったら一定の距離感が出てしまったりします。この点、ニックネーム制は互いの距離感が縮まりやすいという効果があります。そして、この距離感の近さは、お互いの信頼関係にもつながり、先ほど述べたようなに質の高い議論にもつながっていくのです。
ただ、ニックネーム制による弊害もありまして、常にニックネームで会話をしていると、例えば取引先からの電話で「サイトウさんいますか?」と本名で言われたときに、「サイトウって誰だ?」などとなってしまうこともあります。また、ニックネームが名前に全く関係ない人の場合は特に難しいですね。「パクチー」の本名が山田であったりユニークが故に戸惑うことも少々あります笑

2.コミュニケーションの向上

このほかにも、コミュニケーションの質と量を増やすための様々な施策を取り入れています。どの会社でもされていると思いますが、全社員研修や少人数の座談会などもおこなっています。また、かつて「お通夜」と言われた朝礼ですが、今では毎朝30分みっちりやっています。仕事に関係のない雑談ばかりですが、当時とは打って変わって笑顔が絶えない時間になっています。他にも離れた事業所間をリアルタイムでWeb会議システムで映像をつなぎ、仮想ワンフロア化のような仕組みも行っています。

このようにコミュニケーション施策をいろいろ行っていますが、ほとんどがスタッフの自発的な考案によるものです。ベースにフラットな環境があるので、誰でも「こんなことを、やりたい」と言って実行することができます。直近の事例で、面白いのが「資質メルマガ」です。ヤッホーでは個々人の強みが分かるストレングスファインダーという資質テストを全スタッフが行い結果を共有しています。資質が発揮された行動の事例紹介が全社向けにメールで自動発信される仕組みを若手スタッフが自発的に作りました。

この仕組みの面白いところは、ユーザーがラジオに投稿するように、誰でもオンライン上で事例を投稿できるところです。良い行動をしているスタッフがいると思ったときに、「この人は、この強みを生かしているんだな」と他者の行動から学びや理解を深めることができます。
自分だけでなくほかの人の資質が分かると、何か困ったときに「この作業は、分析の作業が得意な○○の資質を持っているあの人にお願いしてみよう!」となります。お願いされる側も、得意なことなので快く、そして苦手な人よりも素早く上手に業務をこなすことができるのです。私の場合は、いろいろアイデアを思い付くことがあっても、協調性があまり高くないので思い付きのままに話してしまいがちです。そんな時に人に伝えることが上手な人に「こんなことを言いたいんだけれど、上手く伝わるようなまとめた良い言い方はないかな?」というふうに相談したりもします。強みだけでなく、自分の弱みも分かっていると、パズルのピースがハマるように活用度が上がって面白いかもしれません。

ここで重要なのは、このストレングスファインダーの結果に出る資質というのは、今現在の「強み」ではなく将来開花する可能性のある「強み」だということです。そのため、単なる性格診断のように受け取ってしまってそこで終わるのではなく、「これって、どういうことなんだろう?」と自分なりに解釈や理解を深めると同時に実践していくことで効果が出てくるのだと思います。

関連イベント

2020年4月28日

Bright at Work 〜先駆者企業が語るティールがおすすめ組織とは?〜

※本記事は、上記イベントでの登壇内容を記事にしています。

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「ティール組織を目指すよりも、一人ひとりの思いに合った進化が大切」という『ティール組織』著者フレデリック・ラルーの考え方とティール組織の理論に基づき、約50項目の「組織の強み」から自社の強み可視化します。更に、レポート結果を元に対話を促すことで、自社らしい自律的な組織進化を支援します。

登壇者プロフィール

清水 俊介

株式会社ヤッホーブルーイング 社長室 特命ディレクター
ニックネームは「みーしー」

横浜市出身。横浜市立大学大学院(理学)を修了後、日本IBM 戦略コンサルティング部門を経て、2014年にヤッホーブルーイング入社。2019年度より現職。
バックオフィス変革・マーケティングリサーチ・営業・採用企画・ブランド戦略・社長秘書・自治体連携など、多岐にわたる重点テーマを担当。
現在は軽井沢へ移住。庭に自作したピザ窯で料理をするのがマイブーム。

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