skip to Main Content
ティール組織の導入企業事例(ヤッホーブルーイング社) 〜組織変化の学びを得られた チームビルディングプログラム〜

前回は、ヤッホーブルーイングの組織構造やフラットな環境について、そしてフラットな環境を目指すに当たっての施策を紹介しました。しかし、最初にお話しをしたとおり、もともとは、ものすごく暗い時期が続いていました。そこからどのように自発的なコミュニケーション施策が生まれてくるようになったのかを説明していきます。

その中でも今回は、ヤッホーが変化していく中での一つの転機であり、チームづくりの学びとなった「チームビルディングプログラム」というものの話をしていきます。

チームビルディングプログラム

ヤッホーは、2004年からインターネット通販の楽天市場にオンラインショップを出店しています。前年までずっと赤字続きだったのですが、この通販サイトへの本格注力をきっかけに売上が黒字に転じました。売上が徐々に伸び始めたものの、井手が社長に就任した2008年当時、社内の雰囲気は最悪でした。スタッフは皆バラバラで、何よりも楽しそうに仕事をしていませんでした。そんなとき「楽天大学」という研修プログラムがあることを知り、井手はこの状況を打破したいと藁にもすがる思いでいろいろな講座に参加をしていました。その中の一つに、チームビルディングプログラムがあり、そのプログラムから多くの学びがあったのです。

「自分が変わらなくてはいけない」

そこで得た学びの一つは、皆が変わってくれないから悪い、皆がもっとチームになるようなことをやってくれないから悪いといった他人目線での考え方ではなく自分目線に立つこと、そして周りを一気に変えるのではなく少しずつ変えていくということです。この時井手は、トップである自分が自ら真っ先に変わる必要性と重要性に初めて気づいたのだそうです。

「人それぞれに個性がある」

井手は普段から声が大きいのですが、どんなに頑張っても声が小さい人ももちろんいるわけです。その人に対して、以前の井手は「それじゃ声が聞こえないので、もっと腹の底から声を出してください!」と言っていたそうです。
しかし、井手はチームビルディングプログラム研修を経て、人それぞれに個性があることに気づいたそうです。その人はその人であり、決して自分ではありません。自分ができることが当たり前に他の人にできるわけではないのです。同時に、自分ができない・苦手な仕事が得意な人もいるわけです。チームとして働く上で、全員が同じことを得意である必要は全くないのです。このことから、人それぞれが持っている個性を伸ばしていくことが大切という考えが生まれてきたのです。

「目標は合意をすることが重要である」

そして、スタッフに対して目標を共有し、合意することも重要な部分です。「うちの会社の目標はこれだよ」と一度言っても合意したことにはなりません。伝えただけで終わりではないのです。きちんと目標に対して納得をして「一緒にやろう!」となってくれなければ目標を達成することはとても難しいでしょう。つまり、目標の共有が大切であり、共有するだけではなく合意まですることが大切ということです。

チームビルディングプログラムを生かした具体例フラットな環境づくりへの施策

井手はこのチームビルディングプログラムをそのまま社内に取り入れました。以降毎年開催しており、今年で10年目になります。初日に自己開示をする。自分のさまざまなエピソードや好きなことや、そういったことを模造紙に書き出すところからスタートします。その後、体験型のアクティビティを行います。例えば、蜘蛛の巣のようなロープの穴をロープに触れずに制限時間内に全員がくぐり抜けるというものです。10人ならば穴が10個あって、1人1個の穴しか通れません。誰かがロープに触ってしまったら全員はじめからやり直しになります。その説明だけされて、「はい、じゃあ皆やってください。どうぞ!」と始まるわけです。

そのうち、だんだんと皆が「上のほうは、重たい人は通れないだろう」ということに気付いていきます。そこで、じゃあ軽い人は上だよねとなったときに、空気が読めない人はこんなことを言ったりします。「みんな体重何キロ?」と。すると「じゃあ、65キロ」とか「72キロ」とか男性は答えていきますが、女性のところで止まってしまいます。

「何で、みんなに体重を言わなくちゃいけないのよ」と言われるわけです。それに対して「じゃあいいよ。女性だし軽そうだから上で」などと言って持ち上げようとします。すると、「ちょっと何よ!触んないでよ!」なんてことになるわけです。
当たり前ですよね。人によって、良いと思うこと、嫌と思うことは当然違うわけです。そういった部分をお互いに理解をし合うことで、初めて1つのことをクリアできるという内容になっています。これを一緒になってクリアすることで、チーム化が進んでいくわけです。

この研修は丸5日間のプログラムですが、最後の5日目で卒業をするときには、皆いいチームで、いい笑顔になって帰っていきます。今、スタッフが140人ぐらいで、延べ参加者が90人ぐらいです。自主参加ですが、多くのスタッフが自主的に参加しています。

プログラムや施策を続けてきた上で見える変化

チームづくりや組織づくりを長く続けてくると、朝礼の様子ものすごく変わりました。今も朝礼を行っていますが、中身は毎朝30分間の雑談です。社長の井手も管理職もパートさんも全員参加しています。この朝礼では仕事とは全く関係のないくだらない話をしています。

例えば私が今朝の朝礼で話したのは、「最近髪が伸びてきたのですが、今はコロナウイルスの影響で出張もありません。美容院に行こうとも思いましたが外出したい気分にもなりません。そもそも打ち合わせをするときも画面越しで人に会うことも無いのです。「あ!これは一生に一度のチャンスかもしれない」と思い、バリカンで自分で散髪をしてみました。1か月も家に閉じこもるのなら別に失敗してもいいやと。失敗してもノーリスクだから、皆もやってみたほうがいいよ!」と言う話をしました。そのような、業務とは全く関係ないくだらない話が当たり前に飛び交う環境ですから、終始笑顔が飛び交いもう昔のようなお通夜のような朝礼ではなくなりました。

朝礼のおかげで、例えば私生活で何か嫌なことがあったとしても「あ、朝礼で話せるネタができた」と思い、ポジティブに変換することができ、仕事を始めるときには良い雰囲気で一日のスタートが切れるのです。
また、このような何てことない雑談は大きな意味があるとも考えています。難しい議論をする際に、お互いのことを良く知らなければ「何だよあの人、こんなことを言いやがって」と、その発言の意図や真意がわからないことがありますよね。そうならないためにも、ベースとなるコミュニケーション量の確保は非常に重要だと思います。

チームづくりの成果はすぐには表れない

チームづくりというのは、なかなか大変なもので時間もかかります。ヤッホーの売上グラフを見ても、チームづくりに力を入れ始めてからしばらくは売上がほぼ伸びていません。この間の目標は、1円でも良いから増収増益を続けること。再成長が訪れるまでの3年間諦めずに踏ん張って、チーム作りを続けてきたおかげでその後に続く30%~40%の急成長を達成できたと思っています。このように、理想を諦めず続けていくことで結果は後から必ずついてくると信じています。

関連イベント

2020年4月28日

Bright at Work 〜先駆者企業が語るティールがおすすめ組織とは?〜

※本記事は、上記イベントでの登壇内容を記事にしています。

登壇者プロフィール

清水 俊介

株式会社ヤッホーブルーイング 社長室 特命ディレクター
ニックネームは「みーしー」

横浜市出身。横浜市立大学大学院(理学)を修了後、日本IBM 戦略コンサルティング部門を経て、2014年にヤッホーブルーイング入社。2019年度より現職。
バックオフィス変革・マーケティングリサーチ・営業・採用企画・ブランド戦略・社長秘書・自治体連携など、多岐にわたる重点テーマを担当。
現在は軽井沢へ移住。庭に自作したピザ窯で料理をするのがマイブーム。

関連サービス

リモートワークにおける社内情報格差をなくすための
グループウェア
iQube

「社内ノウハウの属人化や、複数ツールがあることによって情報の管理コスト上がっていませんか?社内ノウハウの蓄積や共有に特化した15機能を実装。社内ノウハウ・情報の属人化や社内システムの一本化による業務効率を改善します。

リモートワークにおける
社内SNS・コミュニケーションプラットフォーム
エアリーダイバーシティクラウド

休業者へのアナログ対応により業務コストがかかったり、復職への不安から離職してしまったりしていませんか?
増える休業者の事務・連絡作業を効率化するだけではなく、育休、休職者とのやり取りをスムーズにすることで、復帰時の浦島太郎状態を回避し、定着率の大幅改善します。

リモートワークや自律型組織を見据えた
「自社の強み可視化」ツール
Team Journey Supporter

「リモートで対面コミュニケーションが減った中でも、チームのモチベーションを上げながら対話の場を作りたい。」
ティール組織の理論に基づいた約50項目の「組織の強み」から自社の強み可視化します。更に、レポート結果を元に対話を促すことで、自社らしい自律的な組織進化を支援します。

This Post Has 0 Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


Back To Top