ワーケーションという新しい働き…
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ティール組織が生まれるまでの”組織”の歴史 https://bright-at.work/history-of-organization/
ティール組織の3つの特徴 https://bright-at.work/3-features-of-teal-organization/
ティール組織の事例 https://bright-at.work/teal-organization-case-study/
Q:これがティール組織という定義は非常に難しいと思うのですが、判定の仕方はあるのでしょうか?
A:難しいところで、フレデリックは「自分の組織や他人の組織がティールかどうかっていう判定は、あまりいい問いではない」というふうにおっしゃられます。ティール組織の三つの特徴のうち、「二つの特徴なら持っているよね」など、三つともある事例っていうのはまだ海外でもない状態です。どこを正常なティールに置くのかということにおいても全然違うので、あまりティールかどうかっていうのは建設な議論にはならないなと思います。また、ティールかと思った組織の中には、階層構造ではないものの、全部リーダーが「いいよ、いいよ」と承認をして、リーダーがいなくなったら回らないという状態で、どちらかと言うとティールというよりもGREENではないかと思われるケースも少なくないです。
大事なのは、いまの組織がヘルシーかどうかという質問はいいと思います。いまの組織が健全かそうじゃないかということが分かるし、人々の日々の仕事の中で、焦りや恐れとかといった外発的なもので動いているのか、自分の温度、思いやりや感謝といった内発的なもので動いているのかということも一瞬にして分かります。ヘルシーじゃないとか、外発的が多いといった場合には、なぜそうなってるのかということをみんなで対話しながら一歩前進する仕組みを作って、それで失敗からも成功からも学んで、3年から5年後ぐらいに周りからも『ティール組織』に書いてる組織論に近いと言われるようことはあり得るかもしれません。診断をすることで自分の組織ができてないって思ってしまい、組織の一人ひとりのペースを無視した進化を進めることにもなりかねないので、フレデリックは診断をすることを嫌います。それまでの取り組みで素晴らしい試行錯誤をしているのにも関わらず、肯定力が下がってしまいます。また、ティールに認められた・認められなかったというジャッジは「ものさし」という状態でもあります。なので、本当にティールかどうかはどうでもよくて、ヘルシーかどうかが大切かと思います。
いまの状態でストレスなく喜びをお客さんに与えているのであれば、それが素晴らしいことです。もし、いまの状態で何かしらひずみとかストレスがあるのであれば、ティール組織のフレームから次の進化ポイントは探せるかもしれないので、それはそれで素晴らしいことでもあります。ただ、それがティールであるかどうかを判定をする必要もないということです。
Q:ビュートゾルフ社の事例で、給料体系はどのようになっていますでしょうか?
A:ビュートゾルフ社は、ティール組織の中でも特殊な事例で給料はシンプルです。オランダの訪問医療業界は、この専門性の単価が決まっていて、他の組織に入っても同じ金額です。なので、こっちの組織に行ったほうが、やりがいもあるし自由にできるっていうので選ばれているという状況でもあります。他の業界・業種のティール組織は、仕事内容がバラバラですし、給料もバラバラでもあります。その決め方も多様で、基本的には、個人のインセンティブのようなものはなく、チームでインセンティブをつけたり、話し合いで決めたりもします。あるいは、助言プロセスを活用して、自分で給与宣言をし、みんなからアドバイスを求めた上で、最後に自分で決めるなど、いろんなやり方がそれぞれのティール組織で試されています。
Q:ビュートゾルフ社のケースで言うと、基本的には看護師さんが12人のチームを組んで、採用や経理と言ったものを専門家にアドバイスをもらいながら、看護師さんがされるとのことですが、そうはいっても看護師さんも経理的な知識はやはり持っているわけではないので、実際に可能なのでしょうか?
A:おそらく、2パターンあり、かなりの部分は看護師さん自身でやっているのですが、本当に高度に専門なところは頼る必要があると思うので、いつでも相談できる環境であるとか、最後の処理だけはやってくださいっていう振り先はあると思います。ただし、旧来の間接部門みたいな人数がたくさんあって、その間接部門からいろいろ注文がくるようにいろいろやるっていうことはないようです。また、ルーティン業務もチームの中で回せるようになっているようで、何かトラブルがあって法律的な問題が起きたり、特殊なケースが出てきた場合には、本部がそういうアドバイザーに相談しながら、ときには法律家が出てきて解決するようです。そのため、スポットでは専門性の高い弁護士、税理士を雇うのと同じように、組織の中で会計の専門家のような方がもしかしたらいるかもしれません。
Q:ビュートゾルフ社の事例で、各チームごとに収益・収益率が違っていて、黒字、赤字のところもあると思います。また、それぞれ状況も異なると思います。さらに、投資している金額も違うと思うのですが、その中で本社の役割として、収益を集めて、経営資源として蓄積し、何かあったときに使うという方法をしているのでしょうか?
A:ビュートゾルフは医療なので、おそらく、投資をしようと思うとかなりのコストが掛かり、12チームで年間予算とかなんか足りない状態になります。その場合は、各チームが出し合ったお金のトータルが、会社に集まったバジェットとしてあるので、それが本来、会社が支払えるバジェットにおさまればもちろんそのままいくが、おさまらない場合は、一旦、現場に戻すそうです。ただ、現場っていっても、各チームから窓口担当者を出してもらって、それでみんなで「おさまんないらしいけどどうする?」って言って話をし、上意下達みたいなトップダウンで決めるのではなく、話し合いではなく決めてもらうようです。そこで、「じゃあ、今回はうちは我慢するよ」とか「今回うちは、これ絶対ほしいからなんとか買わして」というやり取りをするようです。
何か問題があったら経営層が吸い上げて、そして解決するっていうことは一切しなくなるので、お互いにそれが関係しそうな人たちに呼びかけ合って臨時チームが作られたりっていうのがビュートゾルフ社に限らず行われているようです。例えば、あるチームは人員過剰で、あるチームは人員が足りないということがあれば、今までであれば、社長が「人員が足りなくて大変だからまわしてくれない?」みたいなことを言っても「いや、こっちだって全然足りないですよ」と言われて、全然埓が明かないやり取りが行われがちですが、ティール組織だと、現場同士で課題を話すことで、課題を抱えているチームの痛みが伝わりやすくなり、その中で人員を移すという解決もあれば、季節ごとにちょっと動かすという解決するかもしれません。チームを超えたものに関しては、臨時的なタスクフォースとかグループを作られることが多いのではと思います。
Q:日本においてフレデリック・ラルーが提唱しているティール組織に限りなく近い、ないしは、もうそれに当てはまる組織ってどこがありますか?
A:本当にティール組織を探究している組織はあまり露出していないケースが多いです。露出しているケースには2パターンがあって、一つはやはりリーダーの承認欲求。もう一つは、自分が試行錯誤した結果があるのに、別に同じ苦労をしなくていいんじゃないかと、心の底から思っていて分け与えているっていうパターンの二つがあります。ですが、訪問すると、どうやら訪問する前に皆さんに社長が号令かけて「今日も笑顔にね」っていう感じで、どうも笑顔をかなり強制していて、社長の承認欲求に付き合わされているケースもあります。実際、本が出たのは2年前なので、ティールってなろうとしても3年から5年は最低かかるようなプロセスなので、学んでできているという事例がないというのが実態です。
ただ、ほぼ日さんは自らのことを内臓型組織と言っています。また、企業の方針が「やさしく、つよく、 おもしろく」という「まず物事は優しさが大事だ」ということを言ってるのは、かなりフレデリックの言っているものに近く、人と人の優しい思いやりの関わりがありつつ、内臓型組織のように柔軟に組織構造も変えていきながら繋がりでやっていこうっていう意味では、ほぼ日さんはとてもティールに近いと思います。
これはお世辞ではないのですが、ガイアックスさんもかなりティールに近いと思います。異次元のティール組織みたいな感じなんですが、まず大前提として「個人の生きるパーパスでしょ」というのがあり、その上でせっかく縁があって、このガイアックスというプラットフォームにいるので、一緒にシナジーを生み出そうっていう形の仕組みです。そういったところがいろいろと聞いてると面白く凄く尖っていて、異次元レベルでティールに近いなとは思います。むしろ、ティール組織は知られていないことが多いので、掘り出して「ここは素晴らしい」という組織を見ていくと、海外のティール型組織も驚かせるような事例は日本中にいっぱいあるとは思います。
関連イベント
2020年2月12日
Bright at Work 〜自分らしく生きる・働く『ティール組織』〜 https://bright-at.work/eventreport20180220/
※本記事は、上記イベントでの登壇内容を記事化しています。
関連サービス
自社の強みを可視化し、対話を促すことで「自社らしい進化」を支援するツール
Team Journey Supporter
「ティール組織を目指すよりも、一人ひとりの思いに合った進化が大切」という『ティール組織』著者フレデリック・ラルーの考え方とティール組織の理論に基づき、約50項目の「組織の強み」から自社の強み可視化します。更に、レポート結果を元に対話を促すことで、自社らしい自律的な組織進化を支援します。
登壇者プロフィール
嘉村 賢州
- 場づくりの専門集団NPO法人場とつながりラボhome’s vi 代表理事
- 東京工業大学リーダーシップ教育院 特任准教授
- 「ティール組織(英治出版)」解説者
- コクリ! プロジェクト ディレクター(研究・実証実験)
- 京都市未来まちづくり100人委員会 元運営事務局長
集団から大規模組織にいたるまで、人が集うときに生まれる対立・しがらみを化学反応に変えるための知恵を研究・実践。研究領域は紛争解決の技術、心理学、脳科学、先住民の教えなど多岐にわたり、国内外問わず研究を続けている。実践現場は、まちづくりや教育などの非営利分野や、営利組織における組織開発やイノベーション支援など、分野を問わず展開し、ファシリテーターとして年に100回以上のワークショップを行っている。2015年に1年間、仕事を休み世界を旅する。その中で新しい組織論の概念「ティール組織」と出会い、日本で組織や社会の進化をテーマに実践型の学びのコミュニティ「オグラボ(ORG LAB)」を設立、現在に至る。
関連サービス
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「リモートで対面コミュニケーションが減った中でも、チームのモチベーションを上げながら対話の場を作りたい。」
ティール組織の理論に基づいた約29項目の「組織の強み」から自社の強み可視化します。更に、レポート結果を元に対話を促すことで、自社らしい自律的な組織進化を支援します。