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2018年に出版された『ティール組織』(フレデリック・ラルー著、英治出版)という1冊の本をきっかけに、従来のヒエラルキー型から自律分散型への移行を実践する組織が増えています。

ただし、ティール組織の実践は普遍的な「正解」はなく、それぞれの組織ごとに模索が必要だとされています。

「Team Journey Supporter(TJS)」は、そのような動きを支援すべく、ティール組織の実践・研究の知見をもつ3社が開発した、チームの進化に向けた可視化・対話プログラムです。

今回、いちはやくTJSを取り入れた日本ユニシス株式会社の方々に、TJSを取り入れた経緯とその効果について伺いました。

聞き手:『ティール組織』解説者・嘉村、ガイアックス・冨士松

「ティール組織」というものに、どういったタイミングで出会いましたか?

滝澤さん:
実は組織論から入ったのではなく、Kindleのおすすめに出てきたんです。『ティール組織』出版直後の2018年夏頃でしょうか。ちょうどその頃読んでいたいわゆる「引き寄せ本」の関連だったと思います。

畠中さん:
私も滝澤さんと同じ頃にKindleのおすすめで知りました。表紙がとても印象的で、普通の本じゃないなと感じていました。ダウンロードして読んだのが2018年秋頃でした。

滝澤さん:
引き寄せ本を読んでいたのは、「個人がもっと生きやすくなるには」という関心があったからです。組織論にはあまり関心がなく、人事や総務がやるもの、という認識でした。そうしたら『ティール組織』がおすすめされたのでびっくりしました(笑)。

社内でティール組織が広まった時の皆様の印象はどのような感じでした?

滝澤さん:
すごい温度差があると感じたのが私の認識でした。
社内組織の設計はヒエラルキー型なのですが、社内で定期的に掲載される『社長の推薦本』で『ティール組織』が紹介されて、「社長が推したから読まねば」と思う人や「いいと思います」とすぐに言う人などが一定数いました。あと、普段は鬱々としているような人が「これだよね?」という意見もパラパラとあった印象です。
ピンときた人と、ピンときてない人が半々くらいの印象でした。

嘉村さん:
社長は初め「グリーンを目指しているわけではない」とおっしゃっていた段階から、社内で推薦本として紹介するという形の行動までされるようになったみたいですが、社長の中に何か変化があった感じですか?そのメッセージで社内に何か変化はありましか?

畠中さん:
社長のメッセージは社員への影響力があるので、慎重に出されていると感じました。
日々泥まみれになって仕事をしている社員達に、いきなり「ティール組織」といっても響かないですし、その段階まで一足飛びでいけるとは思えないので、今は「オレンジの中のグリーン寄りのところから、なんとかグリーンに引っ張りあげたいな」という気づきに繋がる要素を社長メッセージの中で定期的に書いている印象です。
ですので、オレンジのど真ん中にいる人に響くようなメッセージもあったりします。

嘉村さん:
理想を持ちつつもリアリティを意識しながら展開されている感じですね。

ちょうど社内(広報部)にティール組織を取り入れていくというお話でしたが、実際にティール組織を取り入れようと、なぜ思われたのでしょうか?

滝澤さん:
まず、広報部なので、メンバーは広報やPR・広告宣伝のお仕事が基本は楽しいと思っています。でも予算や縦割り的な組織、決められたプロセスの中でやらなくてはいけないこともあり、様々な閉塞感を感じていました。
その対策の1つの考え方として「ティール的な自由な空気が広まったら皆の息苦しさが少しでも解消できるのではないか?」と思い、まずは自分のグループ、小さい組織から少しずつできたらなと思ったのがきっかけです。
(ティール組織の本を読んだときに、息苦しさが無くなる感覚があった)

今は全社的に「ティールやホラクラシーの方に向かっていこう」という動きになっていますか?

滝澤さん:
そこまでの確度で進んではいないですね。
ただ「ソーシャルインパクトプロジェクト(SIP)」という今年度から1つだけホラクラシーを会社として公式に取り入れた組織ができました。その組織がホラクラシーを取り入れたきっかけについて「これから全社的にやるのか、まずは実験なのか?」という正式なところを北村さんから説明していただけますか。

北村さん:
今お話を振っていただいたSIPについての目的と展望についてお話します。
SIPはいわゆるヒエラルキー型のような組織ではなく、ティール組織や先ほどでたホラクラシー型の組織を目指し、2020年4月からトライアルとして10名ほどのメンバーで発足しました。導入のきっかけは、これまでの日本ユニシスの仕事のやり方では上手くお客様にサービス提供ができていなかったことなどがあります。本来我々の向かうべき・あるべき姿の1つとして社会課題に向かっていくことがあり、それを目指すためのトライアル組織を作り1年間やってみているところです。
メンバーの組織診断結果のような物を外部のEQサービスで出し「状態の変化」を調べていきました。合計3回データを取り、はじめ日本人は世界的に見ても周囲の感情理解による能力が広く出ていました。それが2回目の途中ではかなり狭まり、いわゆるタックマンモデルとまでは言いませんが、最初は期待値の高いところから実際にやってみると「お互いに対する強要の仕方」が難しく狭まったと思われます。
ですが、自分の感情の管理の仕方、メンバーとの関係性を考えることにより、最後に計測した3回目のデータでは初回よりも上がったという傾向がありましたので「1年間とはいえメンバーにはそれなりに変化があったのでは?」と社内で話しています。

滝澤さん:
今は全社でホラクラシーやティールといった動きよりは、社長が本を薦めたのが2019年初頭で、2020年4月から10人の組織がトライアルで出来たというくらいですね。
そういう意味では、広報部でも2020年度から内々でホラクラシーみたいなことをやっています。
会社から公式に認められているわけではないのですが、例えば組織長の業務(承認・評価・採用など)は分散できていません。ですので、会社の指揮系統に沿って降りてくる仕事は従来型でやりつつ、広報部内のそれぞれのサークルでホラクラシーの要素を取り入れた動きをしています。具体的には、広報部で組織の存在目的に照らし合わせたロール(役割)設計を行い、ロールごとに目的や責務などを決め、サークルとしてまとめ、その中で自立して動いてもらっています。いわゆる従来型とホラクラシーのハイブリッド状態で実施しています。

畠中さん:
広報部でホラクラシーを取り入れた一番大きなポイントは「自分たちのやっている業務に意味を与える」というところです。別の言い方をするなら「目的意識を持って仕事をする」というのが、それまでの仕事の仕方と比較して一番大きな変化だったと思います。
広報や人事など、スタッフ系の業務をする人は同じだと思いますが、歴史的にどうしても「機能を果たすことだけを求められている組織」なので、普段はあまり仕事の意味というところに意識が行きにくい組織だったと思っています。そういう組織に「業務をする意味」を意識することが加わったのは大きかったです。
あと全社的に見たときに、当社の場合、24時間365日で止まってはいけないシステムを扱う業務を生業としているところがあり、システムの不具合は最小限にするという仕事が大半を占めています。そういう背景がありますので、「ホラクラシー型よりも従来のヒエラルキー型の方がうまくいくよね」という認識が社内にありますので、当分は「事業領域によってホラクラシー・ヒエラルキー型のいずれかに寄せるにしろ、両方やっていかないと会社全体として業務がまわらないね」という状況にあると思っています。

それでは、チームごとにやっている業務に合わせてホラクラシーなどを取り入れているということですね。

畠中さん:
そうですね。日本ユニシスの社員は4000人以上いますので、各組織に適した取り入れ方をしているイメージです。

滝澤さん:
営業組織などでは通常業務は従来のヒエラルキー型のまま行い、対話を重視する場面ではチェックイン/チェックアウトなど、部分的にうまいこと取り入れている話は聞いたことがあります。
なんか「そこがいいね」と社内のSIPなどの動きを見て参考にしているのだと思います。
他にもコロナ渦でテレワークが中心となって会話がなくなっているので、「毎朝これだけやろう、対話会をやろう」などの動きは一部であります。

最初このホラクラシーを取り入れるとき「なにそれ?」となったと思いますが、どうやって組織内に浸透させメンバーを巻き込んでいきましたか?

滝澤さん:
私もホラクラシーは言葉しか知らなかったのですが、2019年に実施されたイベントのティールジャーニーキャンパスで吉原史郎さんが実演をしてくださったのを見たことがきっかけで感覚をつかめた気がします。「意見やアイディアが権威にもとづく力で却下されるのではなく、プロセスの中で肯定的に扱われる」というやり方がいいなと思いました。また、2020年に広報部長に就いたことも重なり、まずは身近なメンバーに「ちょっとだけティールをやってみたい」という話をしました。
その時、皆から出た意見で「ただでさえヒエラルキーでいろんなルールがあるのに、きっちりホラクラシーのルールでやるのはちょっと違うよね」という話もあったので、まずは「ホラクラシーのいいところを取り入れる」ことにし、2020年からはじめてみました。
「難しいかもしれないけど、ホラクラシーがどういうものなのかは、まず本をみんな読んでね」という案内や、オンラインで勉強会を開き「私がどうしてこれを取り入れたいと思ったのか」などを話しました。すると同時に多くの質問が出てきました。
嘉村さんはいつも聞かれているようなことかもしれませんが「これをやってどういう良いことがあるの?」「上司に聞かないでどこまで動いていいの?」というのがありました。

畠中さん:
ありましたね、他にも「担当者がこれを決めて良いの?」「上司の了解なり判断をもらわなくていいの?」など、その辺の線引きでみんな戸惑いがあったのと、「どこまで自律的に動いてよいのか決めてほしい」などがありました。
あとホラクラシーという青い本を「とにかくそれを読んでみて」というアクションをとっていたのですが、流通在庫しかなく、たかが1冊5,000円とか8,000円でとにかく入手性が悪く、その間メンバー間でモヤモヤしていた人も多かった印象です。

嘉村さん:
ホラクラシーは廃刊になってしまったみたいですからね。日に日に中古本の値が上がってしまっていますね。もうすぐ英治出版から再編集して復刊される予定なので楽しみです。

滝澤さん:
あと、ちょうどそのころ全社的に業務効率化に向けて業務定義をきちんと見える化するプロジェクトが走っていました。目的としては全社で「重複している業務を一本化する」ことや「コンプラ的観点からプロセスが見えなくなっている業務を見える化する」など、管理目線で業務の棚卸があったタイミングでした。

嘉村さん:
あぁ、それは良い追い風でしたね。

滝澤さん:
はい、広報部もそれをやるけど「ホラクラシーの気持ちでそれらを整理しよう」と意識して動き、サークルのリードリンクに当たる人が同時にそれをやっていました。
棚卸はExcelの表を使用しており、全社では大分類・中分類・小分類・手順などの記載のみでしたが、広報部では「意味・目的」といったホラクラシーの要素を取り入れた行を追加していました。

嘉村さん:
それは素晴らしいですね。
そのExcelにみんながアクセスすれば仕事の意味・目的の全貌が見えるものですか?

滝澤さん:
はい、アクセスすれば見えるようにしていました。
そうやって棚卸をしている際、本来の目的と実際の業務の紐づきが不明瞭な業務がいくつも出てきました。その対応として、ガバナンスミーティングという名目で謎のロールを整理する会を数か月ほど行い「そもそもやる必要があるのか、他部署にもっていくのか、やりたいとしたら誰が手を上げるの?」などの話を集中的にやりました。その結果、なくなった業務もあります。とはいえ、いまだに中に浮いているような業務もあるため、まだまだ整理する必要があると思っています。

ホラクラシーを取り入れてみて、メンバーの反応はどうでしたか? 行動が変わったなどありましたか?

滝澤さん:

私は広報部に長年在籍した後で組織長になったので、メンバーの感情として仲間意識があり、ホラクラシーを取り入れたからといって腹ただしいとかいう声はなかったです。一方で、メンバーからは「出てくる言葉がよくわからない」などありました。それと、どうしても目的・責務などの単語が出てくるので「これ私の仕事じゃない」などの声が一斉に挙がりました。ただ、そこから急に壁がなくなった瞬間があった気がします。畠中さんはそのあたりについてどのように感じていましたか。

 

畠中さん:

やっぱり感覚をつかんだかどうかだと思います。

リードリンクを設定していたのですが、最初は『リードリンク≒実行責任を負うリーダー』と捉える人が多かったです。しかし、リードリンクの人は「リードリンクが何かってこと」をちゃんと理解したうえで「リーダーじゃないんだよ、あくまで方向感を出す人なんだよ」という姿勢で進めていたので、会を重ねるごとにギャップが埋まっていったのだと思っています。

 

滝澤さん:

リードリンクをやった人は辛いシーンもあったと思いますね。

どうしてもリーダーだと認識する人もいたので「リーダーだから、この業務はリーダーがやるべき仕事だよね」や「リーダーが実行責任を持っているのだから、時間あるんだったらやっといてください」など、一瞬カオスになりましたね。

ただ、そこから「業務の目的は、それだったよね」ということを皆が意識するようになったことをきっかけに当事者意識が高まり、徐々に建設的に話せるようになったので、みんなで解決しようという風に変わっていったのだと思います。

実際リードリンクの方が困った以外に、組織を変えていくときにホラクラシーをやってみたときにトラブルやカオス状態になったことはほかにもありましたか?

畠中さん:
ひどい混乱というのはなかったです。
ただ、困ったことというか必然的にはなるのですけど、(社内の)広報部の外側はヒエラルキーで動いているので、そこのギャップを変換する役割を担うロールを作っていましたね。

滝澤さん:
これまでだとその手の政治的なことは、ブラックボックスになるかボランティア的に組織長などがやってしまいがちでした。なので、その習慣を変えるためにまずは組織長をやった経験がある人を複数名置きロールとして定義し、「困ったらその人に相談して解決してね」という風にしていました。

ホラクラシーを取り入れてからメンバーの方が生き生き働くようになった、仕事に向き合う反応などに変化はありましたか?

滝澤さん:
今までの広報部だと「頼まれたから明日までに仕事をやらなくちゃ」というのが日常茶判事でした。ホラクラシーを取り入れてからは徐々に「なんでその仕事をやっているのか?」ということを自然に考えるようになりました。あとは会話がしやすくなったなどの話を聞きます。人に頼むにしても「忙しい人に言ってはいけないのではないか?」「ここは自分がやり切ろうという空気感」を出す人もいて、腹を割って話せない感じだったのがなくなってきたと感じています。

畠中さん:
少し補足をしますと、広報部内の雰囲気はすごくソフトになりコミュニケーションがしやすくなったと思っています。ホラクラシー的な仕組みを取り入れたこともあるけど、広報部長が広報部生え抜きになったというのがかなり利いたと感じています。

滝澤さん:
コロナ渦の影響もありますが、社内外の状況変化が2020年に集中して起きた感じですね。

ちょうどそんな2020年にTeam Journey Supporter(TJS)を取り入れていただきありがとうございます。

※後編はこちら

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