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勤怠管理の知っておくべき労働基準法のポイント

近年、従業員からの未払い残業代請求が急増しており社会問題となっています。企業側としては、勤怠管理をきちんと行っているにも関わらず、そのような事象が発生するのはなぜでしょうか?
労働基準法を理解し、現代に合った勤怠管理をすることが企業側のリスクを減らす上で不可欠です。

・勤怠管理の意味は分かっているが、実務の状況と入力している情報がかけ離れている

・労働基準法の内容もある程度分かっているが、実情と合って無く、もう少し詳しく理解したい

・人事担当として、今の勤怠管理の方法で本当に良いのか迷っている

など、人事担当者として、このような疑問を持った事はないでしょうか?

本記事では、勤怠管理の基本から知っておくべき労働基準法のポイントと、実際の勤怠管理と現代の働き方に乖離について解説します。ぜひ、この機会に疑問点を解決してみてください。

1.勤怠管理とは
そもそも、なぜ勤怠管理をしないといけないのでしょうか?
当たり前のようで意外とその本質を知らない方が多いのではないでしょうか?

以下のどれかに当てはまっていれば改善が必要かもしれません。

残業や休日出勤をしているが、勤怠管理には入力していない。
月末になると出社9:00、退社18:00と入力するだけの作業になっている
残業時間の入力に抵抗があり、サービス残業をしている。
会社では間に合わなく、家でも作業をしているが、勤怠管理には入力していない。
振替休日や代休がなかなか取れなく、有休を毎年捨てている。
始業時間前に出勤して仕事をしているが、始業時間で入力している。
みなし残業だからと言われて、みなし残業の範囲を超えても入力していない。
法令順守・過重労働の防止・賃金の計算という正当性を担保するために勤怠管理をしているはずなのに、実態と乖離した勤怠を行っているのは、なぜでしょうか?

従業員の勤怠管理をすることに意義や重要性を感じられず、ただ面倒な作業となってしまえば、勤怠管理本来の機能を失ってしまいます。長時間労働やサービス残業が続く背景には、勤怠管理が形ばかりのものになっていることが問題です…。

では、なぜこのような事象が起こっているのでしょうか?
まず、労働基準法の以下のポイントを押さえておきましょう。

第三十二条:休息時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない

一週間の各日については、休息時間を除き、一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

第三十七条:労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働についは、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。という規定があります。

ピンと来た方もいると思いますが、この法律自体が現代の成果主義や労働生産性の効率化から大きくかけ離れている点です。つまり、成果も出さず、仕事の効率が悪く残業した人の方が賃金が高くなるという仕組みです。

戦後、日本の高度成長期時代を経て、経済大国2位まで押し上げてきた時代にはフィットしていたかもしれませんが、現代には非常にかけ離れた法律になっているという大きな問題点を含んでいます。

企業側も社員も勤怠管理を含めた、働き方について目先の対応ではなく、企業の利益、生産性を含め大きく舵を切らないと、生き残れないでしょう。

今後は、人口減少と共に働き方も多様化し、在宅勤務や自宅近くのサテライトオフィスでの勤務など柔軟な働き方が求められていきます。従業員自身が自分の裁量で働く時間を決めるられることで、管理が複雑化していくことも考えられるでしょう。

しかし、現在の法律で決まっていることは企業としては遵守しなければならないという側面があることは理解しておく必要があります。

2.勤怠管理を怠った場合のリスク
前章で、労働基準法が現代にフィットしていないことを解説しました。だからと言って、勤怠管理をおろそかにして良いという理由にはなりません。そこで、勤怠管理を怠った場合のリスクについてもしっかり確認しておきましょう。

勤怠管理を怠った場合、給与計算などを行う担当者に大きな負担が掛かる等もありますが、このような社内業務に関する部分は割愛し、マネージャーや管理職の方に関わる点にフォーカスします。

ブラック企業のレッテルを貼られ、企業の信頼が失墜する
従業員全員の労働時間が把握できているのに適切な仕事量を振り分けられないと、一部の従業員の残業時間だけがどんどん多くなってしまい、最悪ブラック企業と呼ばれる可能性もあります。適切な仕事量になっているか、残業時間に見合う残業代を出しているかなどを把握するためにも、勤怠管理は必要です。

ニュースでも聞いた事があると思いますが、従業員からの未払い残業代請求が急増しています。サポートする弁護士事務所も多く、残業代請求の内容証明が企業に送られてくるケースも増えています。もちろん、企業側は無視することができなく対応が求められます。

東京労働局による「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成28年度)」(※1)では、「時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金が適正に支払われていない」として是正勧告・指導され、100万円以上の遡及支払になったのは1349企業。
そのうち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、184企業で、総額127億2,327万円とされています。対象の同労者数は、9万7,978人で、1社平均の支払金額は943万円、労働者1人当たり、13万円という結果でした。

※1:http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c_h28.html

このようなことにならないためにも、賃金不払いや残業解消のため、実際に是正勧告・指導を受けた企業がその後実施した取り組みをいくつかご紹介いたします。

<ブラック企業と言われないために必要な取組み例>
代表者が「賃金不払残業撲滅宣言」を行うとともに、全店で説明会を開催。
「申告書」とパソコンのログ記録に30分以上の乖離が認められた場合には、理由を明記させ、所属長の承認を得ることとした。
総務部職員が定期的に、労働時間が適正に把握されているかについて実態調査を行い、必要な指導を行うこととした。
人事総務部職員が定期的に警備記録とタイムカードの打刻時刻を確認するとともに、各店舗の労務管理状況の抜き打ちチェックを行うこととした。
相談窓口を設置し会社の労務管理に関する疑問などを相談できる体制を整備した。
このような事象は、どの企業にも起こりうる可能性がありますので、社内コミュニケーションはもちろんのこと、そのリスクを回避できる取り組みは早め早めに対応することをお勧め致します。

是正勧告、指導を受けた時点で企業の信頼は失墜します。マスコミに取り上げられてしまうことも少なくありません。是正勧告後や指導を受ける前に上記を参考にしっかり事前対応しておきましょう。

3.労働基準監督署が発行しているガイドラインを遵守すべし!絶対に知っておくべき法律の視点
労働問題に発展しないためには、労働基準監督署が発行しているガイドラインを遵守することが第一歩です。

「労働時間の適正な把握のために」という事で、企業側が講ずべき処置に関する基準を厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署が発行したガイドラインがあります。

■厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署のガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/070614-2.pdf

このガイドラインは6,000文字を超えるため、ここではポイントを絞って解説します。

〈ガイドラインのポイント〉
使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
使用者が自ら現認することにより確認し、記録すること。
②タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
上記の方法をするうえで、自己申告を適正に行うことを説明する。正しく入力されているか実態調査をする。疎外するような処置をしない。
労働時間の記録に関する書類について、労働基準法109条に基づき、3年間保存すること。
事業場において労務管理を行う部署の責任者は、労働時間の適正な把握等、労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること。
事業場の労働時間管理の状況を踏まえ、必要に応じ労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織を活用し、労働時間管理の現状を把握の上、労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行うこと。
この6項目に気を付けながら、勤怠管理を行っていく事が重要です。

6,000文字を超える長いドキュメントですが、必ずガイドラインに目を通しておきましょう。

4.まとめ
この記事では、勤怠管理について法的な観点を中心に詳しく解説しました。勤怠管理1つとっても、労働基準法の把握も必要で業務も多岐に渡ります。業務効率化を重視する現代では、クラウドで提供されている勤怠管理システムの導入は欠かせません。

システムの導入は労務管理を含めた勤怠管理のファーストステップです。実情に合った勤怠管理を行い、社内のコミュニケーションを取り、一人ひとりが「自己管理」できる風土をつくることが何よりも大切です。

次は、労働基準監督署のガイドラインをもとに自社の労務管理に問題がないかチェックしてみましょう。

■厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署のガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/070614-2.pdf

転載元: InnoPM

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