ワーケーションという新しい働き…
働き方に対する価値観が大きく変わり、フリーランスという働き方が定着し始めるなど、社会は「個の時代」に変化しつつあります。
そうした変化を見据えた、企業と才能あるプロフェッショナルを繋ぐ「SAIRU(サイル)」が2016年11月にリリースされました。
この新たなサービスによって、どのような働き方ができるようになるのか、株式会社サイルの代表取締役社長 兼CEOの栗原康太さんに、くわしくお話をうかがっていきます。
優秀な人たちにアクセスする手段が“人づての紹介”しかなかった
――「SAIRU」がどのようなサービスか、教えていただけますか?
「SAIRU」は、企業と才能あるプロフェッショナルの方をマッチングさせるサービスです。
企業の事業責任者の方がプロジェクトを進めたり、事業を拡大したいというとき、やはり重要になってくるのは人材です。ただ、その人材を採用しようとすると、膨大なお金と時間がかかってしまう。派遣やクラウドソーシングなどもありますが、専門的なスキルを持った方を探すのは難しいという課題があります。
一方で、会社を辞めて独立したり、仲間と会社を立ち上げたりされる人の中には、とても優秀な方がいます。そういう高いスキルの方たちと、企業を繋げるためのサービスを運営しています。
――高いスキルを持ったプロフェッショナルの方を繋げられるところが「SAIRU」ならではの特徴ということですね。
はい。そういった方々は、コワーキングスペースや個人の活躍を支援する業界団体に所属して、情報交換やスキルアップをはかっていることが多いので、全国のコワーキングスペースやウェブ解析士協会、日本ディレクション協会などを始めとする約50~60の団体と提携し、提携団体のオーナーさんが信頼する方をご紹介いただいています。
――立ち上げには、どのようなきっかけや経緯があったのでしょうか?
私自身が、株式会社ガイアックスで事業部長をしていたとき、優秀な方にアクセスする手段というのが一切なく、人づての紹介しかなかったんです。もちろん社内にも優秀なメンバーはいますが、既存事業に手一杯でリソースが空いていない。そのため、必要としている人が見つからず、プロジェクトが進まないという状況がありました。
こういった体験から、プロフェッショナルの方を見つけられるような仕組みがあった方がいいだろうと思い、まずはガイアックス社内の新規事業として立ち上げました。その後、会社から事業譲渡をしてもらって、株式会社サイルを2016年7月に設立、11月にサービスをリリースしたというのが経緯です。
必要とする人に適切に繋ぐことで「才能を流通させる」
――会社名とサービス名になっている「SAIRU(サイル)」の名称には、どのような由来があるのでしょうか?
私たちは「才能を流通させる」というミッションを掲げていて、才能の“才(サイ)”と、流通の“流(ル)”が由来になっています。
――「才能を流通させる」というミッションについて、くわしく聞かせていただけますか?
世の中には才能を持っている人がたくさんいるのに、その才能を必要とする人と適切に繋がっていない。それを、適切に繋げることで社会の中で流通させる、というのが私たちのミッションです。
必要な人材を探すとき、日本全体で見れば絶対にいるはずなのに「いい人がいない」というところで止まってしまう。でも、それは単にその人へアクセスする仕組みが現状ないだけなんです。なので、場所も関係なく社会全体で才能を流通させたいということを考えています。
また、それによって個人の潜在能力がもっと発揮されるような状況を作りたいとも考えています。仕事というのは、誰とどんな業務をするかで、パフォーマンスが大きく変わります。いいプロジェクトに携わって、自分のやりたい仕事ができていると、やる気も出るし、幸福度が高くなる。結果的に、その人の潜在能力が発揮されると思っているので、そういった環境を作りたいと考えています。
――単純に企業と人を繋ぐだけではなく、その人の才能がより発揮される状況を作るということを考えられているんですね。
そうです。私自身の経験ですが、中高生時代にテニスをやっていて、練習量では勝っているのに、コーチや練習場の環境に恵まれていた学校に、実力的には全然勝てなかったということがありました。本人の意気込みとは関係ないところで、パフォーマンスがまったく変わってしまうんだなと感じたんです。
だから、一緒に働く人や環境を良くするということは非常に重要だと考えていて、そういう人や環境へ気づいてアクセスしやすくする、という仕組みを全国的にもっと整えたい。そこが整えば、もっと多くの人の潜在能力が発揮されるだろうと考えています。
高いパフォーマンスで働ける「本当にやりたい仕事」へ繋げる
――現在、サービスに登録されているプロフェッショナルの方は、どんな形で働いている人が多いのでしょうか?
個人事業主でフリーランスとして働いている方が最も多く、少人数チームで法人登記されている方などもいます。また、最近は副業解禁の流れもあり、企業に所属しながら副業で登録するという方もいらっしゃいます。
――このサービスを使うことで、どのような働き方ができるようになりますか?
現状、フリーランスで働かれている方にとって、仕事の良し悪しという以前に、生活ができる適切な単価の仕事にたどり着くことが大変なのではないかと思っています。これは社会的にクリティカルな問題だと感じていて、私たちのサービスでは、そうした根本的な部分をまずは解決したいと思っています。
それから、多くの方はやりたい仕事があって独立したはずなのに、実際に受けている仕事がそれと乖離しているケースが多いと感じます。過去の実績やポートフォリオに近い仕事ばかりではなく、やりたい仕事をちゃんと取れるようになる。それが、このサービスを使っていただけると実現できることですね。
――「SAIRU」では、やりたい仕事がアピールできるようになっているのですか?
どんな仕事がしたいかを自己紹介に書いていただいたり、こちらでヒアリングした内容にもとづいてマッチングするようにしています。近々、プロフィールの項目としても入力できるようになる予定です。
実際に自分のやりたい仕事に繋がった方は、楽しそうに働いていてパフォーマンスも高い。結果的に、クライアント企業の方からの満足度も高いので、双方にとって幸せなことだと考えています。
人となりや仕事への思いが80% スキルや経歴は残りの20%
――これまで「SAIRU」を使って企業に出会った方から、どのような反応がありましたか?
地方の体験コンテンツの予約サイトを立ち上げるプロジェクトで、デザイナーを探しているという企業と、デザイナーとして働きつつ、地元で地方創生に携わっている方をマッチングしたケースがあります。
そのデザイナーさんは、まさに関心領域にぴったりで、やりがいのあるプロジェクトに携われるということで、非常に喜んでいただきました。こういったケースは増やしていきたいですし、実際に今後もっと増えていくと思います。
――企業側の立場で利用された方の反応としては、どんなものがありましたか?
スポーツ領域でサービスを立ち上げているスタートアップから、デザイナーを探しているというご依頼があり、自転車で走るのが趣味だというデザイナーの方をご紹介したことがありました。
スポーツ間で共通する課題で話が盛り上がったようで、実際にその企業の方から「ビジョンに共感してもらえる方を紹介してもらえて嬉しかった」という反応をいただきました。
――そういった実績には直接反映されない、興味も含めてマッチングするということなんですね。
実際のところ、人柄や興味がとても重要だと思うんです。人柄や興味に加えて、どんな仕事がしたいか、どんな仲間と働きたいかという部分がマッチするかどうかが、重要度の80%を占めると考えています。なので、「SAIRU」ではそういった部分を意識しています。もちろんスキルや経歴も大事ですが、それは残りの20%だと思いますね。
才能を流通させ、多くの人の潜在能力が発揮される社会に
―最後に、このサービスを通じて実現したいと考えていることを教えてください。
大きな視点で言えば、人の潜在能力にはまだとても余地があると考えていて、その潜在能力の発掘が実現したいことですね。「SAIRU」を通じて、才能あるプロフェッショナルの方が、より良い人や環境に繋がることで高いパフォーマンスを発揮でき、企業に所属している方もそういう人と一緒に働くことで事業が拡大し、想いが実現できる。世の中の才能を流通させていった結果として、多くの人が潜在能力を十分に発揮できる社会を実現していきたいと考えています。
取材協力:株式会社サイル
企業と才能あるプロフェッショナルをつなげるサービス「SAIRU(サイル)」を提供。
デザイナーやライター、Webディレクターなどを始めとした幅広い職種のハイスキルなフリーランスや企業内のクリエイターが多数登録しており、才能あるプロフェッショナルと出会うことができる。
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