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昨年、日本の男女格差が144カ国中111位となり、G7で最下位となったというニュースが世間を騒がせました。

また、日本の女性の25歳から54歳の就業率を他のOECD諸国と比較すると、30カ国中22位となっています。

それらのことが示すとおり、日本は女性にとって働きやすい国とは言えません。

また、「M字カーブ」という言葉をご存じでしょうか?

「M字カーブ」は、日本における女性の就労に関する構造上の問題をひもとく上で欠かせないキーワードです。

今回は「M字カーブ」について解説し、そこから読み取れる女性活用の現状と今後の課題を整理します。

「M字カーブ」ってそもそも何?

以下は、女性の年齢階級別の労働力率の推移を示したグラフです。

http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-01.html

グラフを読み解くと、女性の労働力率は学校卒業後をピークに結婚・出産期に低下し、その時期を過ぎるとまた増加していることがわかります。

この労働力率の変化がアルファベットの「M」の形に見えることから「M字カーブ」と呼ばれています。

ちなみに、労働力率とは15歳以上人口に占める労働力人口の割合のことを指します。

このM字カーブは、欧米諸国ではみられず、日本女性の多くが、結婚・出産期に離職を選択しているという状況を表しています。

http://www.gender.go.jp/whitepaper/h23/gaiyou/html/honpen/b1_s03.html

このように、「M字カーブ」は日本における女性の就労や活用について論ずる際に、欠かすことのできないキーワードとして定着しています。

改善傾向?M字カーブの推移と課題

ふたたび、女性の年齢階級別労働力率の推移をもとに、男女雇用機会均等法が成立した昭和60年と平成27年とで比較してみると、この30年間でM字のカーブが緩やかになっていることが読み取れます。

厚生労働省の資料、「平成27年度版働く女性の実情」では、M字カーブが改善した要因として、結婚している女性の労働力率が上昇したことが大きいと報告しています。

以前と比べると確かに女性の労働力率は上がっており、全体として女性が働きやすい社会にはなってきているといえます。

しかし、M字カーブが緩やかになっているとはいえ、重要な課題は残っています。

ひとつは、結婚・出産時期の女性の就労についてです。

M字の底である「35〜39歳」の労働力率は30年前と比較すると20%以上上昇していますが、同じ平成27年の最も労働力率が高い「25〜29歳」と比較すると、約10%下がっています。

結婚・出産時期に労働力率が落ち込むという現象自体は30年前と変わりありません。

これは、結婚・出産時期に離職を選択している女性が30年前も現在もある一定数存在していることを表しています。

総務省の「平成26年度版通信白書」によると、就業を希望していながら働いていない女性は約300万人以上存在し、結婚と出産を機に退職を選ぶ女性は6割強にのぼります。

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http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141210.html

また、雇用形態に関する課題もあります。

総務省より2013年に発表された労働力調査(によると、非正規雇用の7割が女性であり、女性の正規労働の割合は20~24歳が一番高く、非正規雇用の割合は45~49歳が一番高くなっています。

そこからは、女性が一度離職したあとに再就職する際、その多くは非正規雇用での復帰という現状が読み取れます。

つまり、働きたいという希望を持つ女性が結婚や転居、出産育児などのライフスタイルの変化に左右されず働き続けるにはまだまだ難しい状況といえるのではないでしょうか。

期待されている女性の労働力

日本では、少子高齢化・人口減少にともない労働人口の減少が見込まれ、社会的な課題となっています。

その問題を解消すべく、女性の労働力に期待が持たれており、各方面で活躍が推進されています。

安倍政権においては、「日本再興戦略」の工程表において「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに少なくとも30%程度にする」ことと「2020年までに25歳~44歳の女性就業率を77%にする(2012年:68%)」という2つの数値目標を掲げています。

2016年には女性活躍推進法が成立し、従業員数が301人以上の企業は、自社の女性推進策を、具体的な数値目標を含んだ形で公表することが義務化されました。

これからますます女性活用の流れは加速していくと思われます。

まとめ

M字カーブは解消傾向にあり、政府の目標通り、2020年には解消する可能性があると言えます。

しかし、それは女性が結婚・出産後もそれ以前と同じ仕事をしているということではありません。

今後の労働人口減少の流れのなかで女性の活躍を推進するのであれば、テレワークをはじめとした、ライフイベントに左右されない柔軟な働き方の導入など、環境整備や意識の改革が必要といえます。

参考URL

http://www.gender.go.jp/whitepaper/h23/gaiyou/html/honpen/b1_s03.html

http://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/point16.pdf

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai27/siryou2_3.pdf

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

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