ワーケーションという新しい働き…
僕らは、成功するための圧倒的なファクターは「心理的安全性」だと思っています。そして、この心理的安全性というのが、組織形成にも紐づくものであり、Afterコロナというようなこれからの新しい働き方の中でも重要になってくるでしょう。それを踏まえた上で、Goodpatch Anywhereが意識しながら取り組んでいることや、組織変化の分岐点、さらに評価制度というような組織の中身について掘り下げていきたいと思います。
成功の強みとなる「心理的安全性」
心理的安全性というのは、「無知・無能・ネガティブ・邪魔」と思われる可能性のある行動を起こしても、「このチームであれば大丈夫」と信じることができ、その行動が受け入れられる関係性のことを言います。これは、上の立場の人だけが思っていても意味がありません。メンバーの一人ひとりがそう考えられているかどうかがポイントになります。心理的安全性が高まると、コミュニケーションが増える。そうなるとアイディアが生まれやすくなる。心理的安全性の価値観がきちんと受け止められて有効利用されることで良いサイクルが回りだし、働く人たちが楽しいと感じ、離職率の低下にも結びつくわけです。このサイクルは、経営者と働き手の両者にとって非常に価値のあることです。
心理的安全性を高めるために
心理的安全性を高めるための心得としては、Googleのre:Workで推奨されていることがとても参考になります。例えば「仕事を実行の機会ではなく、学習の機会と捉えましょう」ということや、「自分が間違うという前提を持ちましょう」と言うこと。さらに、「好奇心を形にして、積極的に質問をしていきましょう」ということも言っています。まるで学校で言われるようなことですが、まさに学びの姿勢と言えるのではないでしょうか。前回、Googleの学習スピードの部分にも触れましたが、この2つを組み合わせると、「心理的安全性が高まると、高速で学べるチームが成り立つ」という理論ができあがるのではないでしょうか。
Goodpatch Anywhereが心理的安全性を保つために意識していること
Goodpatch Anywhereとしては、心理的安全性に対して一人ひとりが心理的安全性を保つために努力をしましょうと言っています。心理的安全性は、上から与えられるものではないということです。こういった意識をメンバー全員が持つことがすごく重要です。
その心理的安全性を活かして、コミュニケーション量を向上させます。そのために、発言をするハードルをゼロにする努力をしていきましょうとも言っています。例えば、Slackなどでメンションをしていいのかどうかを悩むのなら、受け手がコントロールをするルールを設けて、発信する側の心理的ハードルがさがる工夫をしています。また、会議などでは全員が均等に発言をすることを意識しています。誰かがしゃべりすぎていたり、逆に消極的になっていたりする場合には「あなたはどうですか?」という形で、まんべんなく意見を引き出すことで、発言量を均等にすることを目指します。さらに、ハブ役に依存しないというスタンスも重要です。ディレクター的なポジションや窓口的なポジションのメンバーにコミュニケーションを依存してしまうと、必ずその人がボトルネックになる時がきます。ですので、メンバー一人一人がそれぞれとコミュニケーションをとれる状況をつくっています。
あとはは、「○○をさせていただきたいと思います」のように、あまりにも堅くなりすぎる形式を避けることも一つの手段と考えています。
ダニエル・キム氏の成功循環モデルも意識している
また、ダニエル・キム氏の成功循環モデルも参考にしています。とても簡単に言ってしまえば「結果の質にいきなり注目をしても組織がギクシャクするだけで、逆に生産性は落ちてしまう」というものです。当初から、関係性の質を良くするという部分にGoodpatch Anywhereは力を入れていたのですが、このダニエル・キム氏の成功循環モデルを知り、より納得感を持ってチームビルディングに取り組むことができています。ほかにも、タックマンモデルという組織成長のモデルも組織開発に取り入れています。このモデルでは、チームが成長をしていく過程を「形成期・混乱期・統一期・機能期」の4つに分けています。注目すべきはこの『混乱期』で、チームが成熟するためには必ず「混乱期」が生じるのだということを認識しているかどうかで心持ちが大きく変わってくるという事です。チームの勢いが下を向いただけで諦めてしまうのではなく、成長過程であると認識できるかが大切なのです
組織変化の分岐点
リモートワークでは「絶対に何かの問題が生じる」と思われがちなのですが、デザインというとても複雑かつコミュニケーションが多量に必要な仕事であっても、リモートワークが実現ができています。ここで、問題が起こる原因は「本当にリモートワークによるものですか?」と問い直していただきたいのです。リモートワークが何か問題を増幅することはあっても、根本となる原因ではありません。むしろ、根本原因を見つめなおすための理想的な実験環境にもなりえます。例えば、デジタルの状況を使って「雑談が意外と大事だったんだね」とか「マネジメントできていたつもりになっていたけど、コミュニケーションが足りていなかった」など、組織に潜んでいた問題をあぶり出し、どのように解決すべきかを考えるきっかけをリモートワークは与えてくれるのです。新しい事に取り組まざるを得ない状況や、普段のオフィスではあり得ない「雑談をゼロになった」などの状況は経験値を得る絶好の機会だと考えましょう。
課題の根本に向き合うことが組織変化の分岐点となる
組織課題の根本に目を向けることは、組織が良い方向へと向くチャンスです。先ほど、ダニエル・キム氏の話でも触れましたが、失敗につながることを恐れて何もチャレンジができないようなストレスフルな状態を緩和するために、「チャレンジや失敗も一つの学びや経験値である」という宣言を組織のトップができるかどうかでも差ができるのではないでしょうか。いろいろとチャレンジをした人に対して「お前が面倒なことをやったから、こんな大変なことになったんだ」ということを言い続けるような環境であれば、メンバーは委縮して挑戦ができなくなる「変化に対するアレルギーを抱えた組織」としての経験を強化学習し続けてしまいます。コロナと言う危機的状況で、このような組織になってしまうのか、それとも、「変化に慣れた成長する組織」になるためのチャンスとして捉えるのかということが、10年、20年先に影響をもたらす分岐点になると感じます。
Goodpatch Anywhereの報酬・評価制度
Goodpatch Anywhereの評価制度や報酬についてもお話ししますと、基本的には「お互いに合意の時給で払います」以上のことは決めていません。副業をしていて「あまり稼がなくてもいいんだよね。でも面白いプロジェクトに関わりたいんだ」といった方もいれば、住む地域にによって生活コストも異なってきます。それぞれ抱えている状況が違うので、基本的には自由に提示してもらったものを基準に調整をするという形を取っています。「人の能力とバリューがこれぐらいの価格なら、この案件に入れられる」という市場原理のようなものも当然働くのですが、今はこのようなシステムで動かしつつ、みんなで考えています。
評価についても、1on1や面談、360度フィードバックといったことはやっているのですけれども、それらは全て「評価に紐付けるものではなく、メンバーが成長するためにやっていること」です。フリーランスの方々は成長に対して悩みを抱えていることが多いため、お互いのフィードバックを純粋に成長につなげてほしいという思いから、評価とは切り分けています。
関連イベント
登壇者プロフィール
齋藤 恵太
株式会社グッドパッチ
Goodpatch Anywhere事業責任者
制作会社を経て、2013年にグッドパッチにジョイン。代表的事例はマネーフォワード iOS(2014)やFiNC Technologies のアプリ・サービスデザイン。コミュニケーションを重視し長期的に案件に関わるスタイルで数々の組織の成長を体感、良いプロダクトやサービスを生み出す組織について研究しています。2018年10月よりリモートワークの新規事業 Goodpatch Anywhere を事業担当者として立ち上げ。
Twitter:@qnoub
関連サービス
「社内ノウハウの属人化や、複数ツールがあることによって情報の管理コスト上がっていませんか?社内ノウハウの蓄積や共有に特化した15機能を実装。社内ノウハウ・情報の属人化や社内システムの一本化による業務効率を改善します。
休業者へのアナログ対応により業務コストがかかったり、復職への不安から離職してしまったりしていませんか?
増える休業者の事務・連絡作業を効率化するだけではなく、育休、休職者とのやり取りをスムーズにすることで、復帰時の浦島太郎状態を回避し、定着率の大幅改善します。
「リモートで対面コミュニケーションが減った中でも、チームのモチベーションを上げながら対話の場を作りたい。」
ティール組織の理論に基づいた約29項目の「組織の強み」から自社の強み可視化します。更に、レポート結果を元に対話を促すことで、自社らしい自律的な組織進化を支援します。