skip to Main Content

日本では徐々にテレワーク推進の動きが広まりつつありますが、海外ではすでに十数年前から普及が始まっていたようです。
そこで今回は、海外におけるテレワークの実態や、今後日本でテレワークがどう展開していくのかなどを、
コミュニクラウド ジャパン株式会社の代表取締役・福田剛士さんにお伺いしました。

テレワークの普及率の違いは、そもそもの「働き方」の差にある?

アメリカやイギリスの外資系の会社で職務経験が長い福田さんは、現在は日本でバーチャル会議を支援する遠隔会議サービスを提供する会社を立ち上げています。

海外ではテレワークがかなり浸透しているということですが……。

そうですね。テレワーク、いわゆる在宅勤務というのは、海外ではかなり前から盛んです。
私はイギリスの大手通信会社に勤務していたこともあるのですが、その時には電話会議やWEB会議など遠隔会議サービスの責任者をしていました。
こうしたなかでテレワークは非常に多くの人へ普及していると肌で感じていましたね。

とはいえ、どんな企業でもテレワークが可能ということではありません。

職種や業種によるところも大きいです。

例えばモノを作る製造業など「労働力や労働時間と生産性が比例する」職種では、テレワークを使うことができません。反対に、サービス業や営業、マーケティングなど「労働力や労働時間と生産性が比例しない」職種には適しています。

何でもテレワークで仕事ができるというわけでもないですよね。
しかし、なぜ海外では日本よりもテレワークの普及が高いのでしょうか?

やはり働き方の違いではないでしょうか。
海外では労働時間よりも結果を求められることが多く、個人の能力を重要視する傾向にあります。
入社した時から自分の仕事が明確化されており、報酬についても事細かに条件が定められています。

報酬を上げたければ、成果を出さないといけない状況に置かれているのです。
逆にいえば、成果さえあげれば、その過程についてはあまり何も言われません。
乱暴な言い方だと、「どこで何をしていようが、成果が出せばOK」なので、会社にいようが、自宅にいようが本人の裁量次第というわけなのです。
海外でテレワークが発展するのも、こうした働き方がベースにあったからだと思います。

一方、日本では個人の能力よりも、会社や組織全体での成果が望まれます。
集団の中でどう利益を追求していくかが重要視されているのです。
こういった体制では、どうしても個人の評価について曖昧な部分が発生してしまう。

一昔前までは「就業後の上司とのお付き合い」も出世や昇給には必要だなんて言われていましたよね。
個人よりも集団での成果が求められる日本では、コミュニケーションが必要になってきますから、結果、成果をあげるだけではなく、その過程まで重要視されてくるのです。
すると、テレワークの「どこでも仕事ができる」という利便性が、会社の望むものとは一致しないので、普及がなかなか難しい環境にあるといえますね。

少子化、高齢化……迫る社会問題とテレワークの発展

海外とは働き方のベースに差がある日本。今後の普及へ向けて必要なことはどんなことでしょうか。

まずは管理職の意識改革が大切だと思います。
過程を重要視する日本の働き方では、「部下がどこで何をやっているのか分からない」という不安感がつきまといます。さらにリモートワークで働く社員をどう管理していけばいいかも分からない。

こうした点については、会社をあげてテレワークへ取り組んでいくことが必要です。
海外ではテレワークの導入について研修やトレーニングが行われています。
日本でも盗難によるセキュリティ対策など、在宅勤務が安心して行える知識を伝えることができれば、管理職の人もテレワークの実態や管理方法などを把握することができるのではないでしょうか。
あとは評価基準の明確化、テレワークを始めるための資金的な援助なども必要になってきますね。

「働き方を変える」となると、日本での普及にはまだまだ時間がかかりそうな気がしますが……。

実はそうでもないと思っています。

今後は政府における支援なども増えてくるのではないでしょうか。
私が今一番注目をしているのが、2016年12月に改正法が成立した「がん対策基本法」です。
今回の改正法には、企業ががん患者の雇用継続への配慮に務めることが求められています。
治療をしながらの通勤や出勤は困難になることも多いですから、こうした場合には自宅で仕事ができるテレワークが有効になってきます。

また、病気療養中の人だけではなく、育児や介護でも同じことがいえますね。
働きながら子どもを育てることが当たり前になってきている昨今に加えて、現在の日本は高齢化社会。
将来的には介護をしながら働くというケースも増えてくると思います。
どちらかを諦めなければならないという考え方のままでは、いずれ社会が成り立たなくなってしまいます。
柔軟な新しい働き方が求められるのも、そう遠い未来のことではないのではないでしょうか。

最後に、日本におけるテレワークの将来性や理想像などをお聞かせください。

海外でテレワークが発展してるからといって、それをそのまま導入することは必ずしもいいことではありません。
メリットがあるぶん、デメリットもあります。
しかし、日本人は一般的にサービス精神が旺盛で几帳面ですから、「何をやっているのか分からない」テレワークでも真摯に取り組む傾向が強いと思います。
ですから、海外のテレワーク事例を参考にしつつ、日本人に合ったハイブリッドなテレワークが将来的に発展していくと素晴らしいですね。

会社にとって一番の痛手は有能な社員が介護や育児、病気などで辞めざるを得なくなること。
また、辞めたくないのに辞めなければならないという社員もいます。
こうした会社と社員の間で橋渡しができるのが、テレワークの一番のメリット。

テレワークの普及で、今後の日本社会に大きく貢献していけたらとてもうれしく思います。

取材協力:コミュニ クラウド ジャパン株式会社 代表取締役 福田剛士
実用的なバーチャル会議サービスを日本のさまざまな会社へ提供している。本社であるCommunicloud Pty Ltdでは、すでにオーストラリアを中心に200社以上の顧客を持ち、世界的な規模で展開中。
バーチャル会議による出張や移動時間の削減、従業員の生産性の向上を目指すほか、育児や介護が必要な従業員に対しても、自宅からのリモートワークを可能にすることで、柔軟な働き方を支援している。

コミュニ クラウド ジャパン株式会社

関連サービス

iqube

「社内ノウハウの属人化や、複数ツールがあることによって情報の管理コスト上がっていませんか?社内ノウハウの蓄積や共有に特化した15機能を実装。社内ノウハウ・情報の属人化や社内システムの一本化による業務効率を改善します。

Airy Diversity Cloud

休業者へのアナログ対応により業務コストがかかったり、復職への不安から離職してしまったりしていませんか?
増える休業者の事務・連絡作業を効率化するだけではなく、育休、休職者とのやり取りをスムーズにすることで、復帰時の浦島太郎状態を回避し、定着率の大幅改善します。

「リモートで対面コミュニケーションが減った中でも、チームのモチベーションを上げながら対話の場を作りたい。」
ティール組織の理論に基づいた約29項目の「組織の強み」から自社の強み可視化します。更に、レポート結果を元に対話を促すことで、自社らしい自律的な組織進化を支援します。

Back To Top