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株式会社ガイアックスでは、2017年1月にビル1棟をまるごとシェアする「シェアオフィス」をオープンしました。フリーランスや副業などで個々に働く人たちが、出会いによってさらなる可能性が生まれる、従来のコワーキングスペースから一歩進んだ「シェアオフィス」の実態を、株式会社ガイアックス ブランド推進室の佐別当隆志さんにお伺いしました。

 日本で初めての試み。ビルを丸ごとシェアする「シェアオフィス」とは?

――ビル1棟をシェアする「シェアオフィス」とは、そもそもどういったものなのでしょうか。

基本的には、従来のコワーキングスペースのように、働く場所として利用してもらうための場です。だいたい1カ月単位で借りる人が多く、フリーランスやサラリーマンで個人的に副業をされている人、起業活動をしている人などが利用しています。

――コワーキングスペースとの違いはどこにあるのでしょうか。

コワーキングスペースは、個人で働く場所として利用されていることが多く、例えば起業して仲間が集まりだすと、スペース的な問題から利用が難しくなってきます。シェアオフィスではビルのフロアやスペースごとによって、さまざまな形の「シェア」をすることができるように設計していますから、働き方が変化しても、その変化に合うような場所を提供することが可能です。

――ビルを丸ごと1棟というのは、コワーキング事業でも日本で初めてとお伺いしました。なぜこのようなシェアオフィスを始めたのでしょうか。

私はガイアックスでブランド推進室を担当している一方、シェアリングエコノミー協会という団体で事務局長も務めています。ガイアックスのブランド推進室では、ガイアックスのブランディングを強化するなかで、オフィス環境をよくしようという動きがあがってきていました。そこで、オフィスが会社のプレゼンテーションの場にならないかな、と思ったのです。会社自体がミッションを表すような、働き方をオープンに見せていくようなイメージです。

海外ではすでにIT系の会社や成長している会社が、空き倉庫や廃校になった学校などリノベーションが可能な広い敷地へとどんどん移転する動きが見られます。

そこで、会社の移転にともない、会社の方針や魅力が伝わるようなクリエイティブな空間を作りましょうという提案をしました。

 ――移転先を探す時にはかなりの苦労もあったのではないでしょうか。

そもそも日本ではサブリース(部屋を借りた側がさらに第三者へ部屋を貸すこと)が難しいので、コワーキング事業で使える建物を探すのが大変です。そこで初めは空き倉庫を探していましたが、耐震性や空調の問題があってNG。都内の廃校になった学校も探したのですが、すでに人気で空きはありませんでした。困っていたところでようやく見つけたのが、現在のビルです。サブリースも可能なうえに、リノベーションもOKだったのでまさに理想のビルでしたね。

――具体的にはどんな施設があるのでしょうか。

従来のコワーキングスペースとして個人で使えるスペースはもちろん、複数で仕事をする時には会議室のように仕切られたスペース、会社として入居できるフロアなども確保しています。

また、仕事場に限らず、展示会場として使用したり、ワークショップなどのイベントを開催することも可能ですから、空間を自由にクリエイティブすることで、使い方は無限にあると思います。

取材時に開催されていたのは人気アーティストユニット「magma」の展示販売。自由に空間を作れるため、こうした展示会やワークショップが定期的に行われている。

キッズルームも完備。子連れでも安心して利用できる。

――働き方が変化した時や、複数での利用も柔軟に対応できるということですね。さらに、仕事以外の場所も充実しているとお伺いしましたが…。

はい。働くスペース以外にも、地下にはバーを入れたり、1階にはランチができるレストランを入れたりしています。また、コワーキングスペースにはカフェ施設に加えて、シャワールームやベッドも完備しています。

天井まで届く本棚に囲まれたベッドルームは6室。もちろん本はすべて自由に閲覧可能。

コワーキングスペースフロアの奥には大きなカフェスペース。座り心地のよいソファとおしゃれなインテリアは、時間が経つのを忘れてついつい長居をしてしまいそう。

個々の交流から生まれる、未知の可能性へ。シェアオフィスの理想像とは

――こうした取り組みには、何か理由があるのでしょうか。

コワーキングスペースは国からの助成金制度もあるため、2000年頃から全国で急速に展開をしてきています。しかし一方では、供給過多で閉鎖していくところも多いのが実情です。こうした競争が激しい市場の中では、従来の施設としてだけではなく、そこへ行かなければ得られない価値や魅力が必要だと考えているからです。

――極端な話、使用料を支払ってコワーキングスペースへ行かなくても、自宅やカフェで仕事をすることは可能なわけですからね。それではシェアハウスで働くことの魅力とは何でしょうか。

人と人との出会いです。本来は個々で働くための場所ですから、矛盾しているように聞こえるかもしれません。しかしシェアオフィスには、それまで出会うことのなかった、分野も年齢もまったく違う人たちが同じ場所へ集まっています。こうした人たちが交流することで、新しい発想や価値観が生まれ、さらにはビジネスやプロジェクトへ発展することがあるのです。

――そのためにカフェやバーなどが充実しているわけですね。働くスペースがあって、カフェやレストラン、イベント会場なども揃っている…なんだか大学のようなイメージです。

そうですね。それぞれの目的があって集まっている個々に交流が生まれて、大きく発展していく。シェアオフィスがそういった場所として貢献していけることが理想ですね。

――競争が激しいコワーキングスペース事業は、今後は日本でどのように展開していくと予想されますか?

さきほども述べたように、コワーキングスペースは現在、供給過多の状態です。しかし、一方では、海外の大手コワーキングスペース「We Work」の時価総額はすでに1兆円を超える大規模事業となっています。こうした現状を考えると、今後の市場で生き残るためには、やはりオリジナリティが必要になってくるのではないでしょうか。

また、日本の雇用形態とコワーキングスペースには、まだアンバランスさが残っています。しかし、日本の正社員率はすでに50%を切っていることを考えると、近い将来には日本の雇用形態もさまざまなタイプが生まれてくると思います。そうなるとコワーキングスペースの利用者にも変化が出てくるのではないでしょうか。

 

――最後にこれからシェアオフィスの利用を考えている人へ、アドバイスをお願いします。

コワーキングスペースは個々で働けるサードプレイス。自宅やカフェでは集中できないという人には最適な空間です。シェアオフィスではこうした空間の利用だけではなく、コミュティの場所としても利用することで、現在抱えている仕事や起業を考えている人には、新しい可能性を生み出すことができるのではないでしょうか。「働くことを楽しみたい」「常に新しい発見を求めている」という人は、ぜひ一度遊びに来てください。

取材協力:株式会社ガイアックス ブランド推進室

「人と人とのつながり」という理念のもと、シェアリングエコノミー事業を推進。自分とは違う人と人がつながり、モノや体験をシェアすることによって成立するサービスを提供している。

参考URL

 

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