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働き方改変が求められる今、テレワークが再注目されている理由を分析!では、求められる生産性の向上や人材不足による労働環境の悪化という点に着目し、テレワークの導入が問題解決の糸口になる可能性について解説しました。ここでは少し視点を変えて、雇用問題に着目し、そのなかでも「離職率」について解説します。

離職率とは?離職率の高い業界とは?
離職率とは離職した人の割合のことですが、厚生労働省では、以下のように定義しています。

離職率とは、常用労働者数に対する離職者数の割合をいい、次式により算出している。


(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/16-2/dl/yougo.pdf)

現在、労働環境問題の悪化により離職率の高さも問題になっています。実際の離職率はどのような結果が出ているのか、厚生労働省が発表している平成27年度の「業種別入職率・離職率」に算出された離職率から分析します。


(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/16-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf)
離職率の高さは業種によって大きく差があり、離職率の最も低い複合サービス事業(郵便局や協同組合など各種のサービスを組み合わせて提供する事業。詳細は後述)と離職率が最も高い宿泊業・飲食サービス業では20.5%も差があることがグラフから読み取れます。
では、次に新卒の離職率を見てみます。


(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000140526.html)
こちらも先程と同様に、離職率が最も高い業種は宿泊業・飲食サービス業で、次に生活関連サービス業・娯楽業と続いています。このことから、業種別の離職率に学歴(≠年齢)は関係なく、離職にはその他の共通した理由があるように見えます。

離職率の高い業種にある共通点とは?
業種別に見た離職率の高さは、学歴(≠年齢)に関係がないことが分かったところで、なぜ宿泊業・飲食サービス業は離職率が高いのかそれぞれの業種について考えてみます。
業種の分類は総務省によると、以下のように定義しています。

・宿泊業
一般公衆、特定の会員等に対して宿泊を提供する事業所。

・飲食サービス業
主として客の注文に応じ調理した飲食料品、その他の食料品又は飲料をその場所で飲食させる事業所並びに、客の注文に応じ調理した飲食料品をその場所で提供する事業所。
(http://www.soumu.go.jp/main_content/000290732.pdf)

わかりやすくいうと、宿泊業が旅館・ホテル・簡易宿所・リゾートクラブなどの宿泊などを提供する事業所で、飲食サービス業はレストラン・食堂・大衆酒場・バーなどで客に飲食をさせる事業所です。
この2つの業種に共通している点をあげてみます。

・繁忙期(時間)があり、営業時間が長い(=労働時間も長い)
・給与が低い

利用する側としては、深夜営業や24時間などの長時間営業は便利で助かりますが、働く側に立てば良い面ばかりではありません。近年の労働者人口の減少も影響し、深夜勤務や長時間労働など労働環境の悪化は問題となっています。
実際、厚生労働省が発表した平成27年就労条件総合調査結果の概要 労働時間制度の結果を見ると、1日の1企業平均労働時間は7時間46分で、週所定平均労働時間は40時間17分と宿泊業・飲食サービス業が最も高い結果となっています。
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou01.pdf)

また、労働時間に給与が見合っていない点も特徴です。同じく厚生労働省より賃金制度を確認すると、平成26年11月分の1人平均所定内賃金は基本給21万7,880円、諸手当3万9,648円の合計25万7,528円と最も低い生活関連サービス業,娯楽業とほぼ変わらない結果となっています。
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou03.pdf)

このようなことから、離職率を高めた特徴は長時間労働と低賃金であると考えられます。

離職率の最も低い複合サービス事業と比べてみると
離職率の高い業種は、長時間労働と低賃金という特徴があることがわかりましたが、反対に離職率の最も低い業種との違いを分析します。先程と同じく業種の分類を総務省の総説を見ると、
・複合サービス事業
信用事業、保険事業又は共済事業と併せて複数の大分類にわたる各種のサービスを提供する事業所。
なかでも、法的に事業の種類や範囲が決められている郵便局や農業協同組合などが分類されます。(http://www.soumu.go.jp/main_content/000290736.pdf)

複合サービス事業が最も低い離職率である結果には、宿泊業・飲食サービス業と大きく異なる特徴があるからのようです。

それは、労働時間の短さということです。先程と同じように、厚生労働省が発表した平成27年就労条件総合調査結果の概要 労働時間制度の結果では1日の1企業平均労働時間は7時間36分、週所定平均労働時間は38時間38分。(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou01.pdf)これは全業種の中で2番目に短い労働時間です。
しかし、平均所定内賃金は合計28万9,355円と宿泊業・飲食サービス業より高い結果となっています。
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou03.pdf)
このような結果から、労働時間の長さや賃金が離職率に大きく関係していると考えられます。

離職率を高めた顧客主義の営業
離職率の高い業種は、勤務時間帯が不規則で長時間労働という労働環境の悪さに加え低賃金が特徴であると考察しましたが、改善のためには、まずは労働環境を見直すことが離職率を下げるための重要なポイントと考えられます。とはいえ、深刻な人材不足・営業時間の問題などがあり、サービスクオリティを保ちながら少ない人材で労働環境を改善しながら運営していくことは容易ではありません。
まずは、顧客の求めるものばかりを追求して、働き手をないがしろにしている現状から脱却することから始める必要があるといえます。

例えば、以下にあげたような一部のサービスを終了し、必要なサービスはクオリティを保ちながら運営をするという改革が必要なのかもしれません。

宿泊業の場合
・深夜や早朝の緊急時以外の顧客サービス廃止。
・セルフサービスを導入し、スタッフの仕事量を減らす。
飲食サービス業の場合、
・深夜や早朝営業の廃止
・ 繁忙時間は提供するメニューを最小限とする。

問題視された牛丼チェーン店の「ワンオペ営業」で<リンクもしくは引用:記事NO9 なぜいまテレワークが再注目されているのか? 小見出し:生産性の向上を求めるあまり、新たに噴出した労働環境の悪化問題>、深夜営業や24時間営業を廃止する店舗も増えてきております。
業界全体で離職率の高さに関する問題解決を考えない限り、現状を解決することは難しそうです。

まとめ
離職率でみると、労働時間が長く、低賃金である宿泊業・飲食サービス業が年齢や学歴に関わらず最も高い業種だとわかりました。反対に、労働時間が短く、賃金はそれほど低くない複合サービス事業は最も離職率が低い業種でした。これらのデータから、労働者人口の減少により、人材不足が進む中で離職率を下げるためには、顧客の求めることばかりを追求するのではなく、働き手の立場に立って労働環境を改善することが何より重要なポイントだといえます。また、そのためには、1つの企業だけが改善に向け取り組みを行うのではなく、業界全体でこの問題を重く受け止め、離職率を下げていく意識が必要なのではないでしょうか。

参考URL
厚生労働省 主な用語の定義
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/16-2/dl/yougo.pdf)
総務省 日本標準産業分類 大分類M(http://www.soumu.go.jp/main_content/000290732.pdf)
総務省 日本標準産業分類 大分類Q(http://www.soumu.go.jp/main_content/000290736.pdf)
厚生労働省 新規学卒者の離職状況(平成25年3月卒業者の状況)を公表します。
(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000140526.html)
厚生労働省 産業別の入職と離職
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/16-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf)
厚生労働省 平成27年就労条件総合調査結果
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou01.pdf)
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou03.pdf)

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